Ⅳ ゲームの分析と評価

 どの競技でも同じであるが,ハンドボールにおいてもゲームというのは最終の目標であって,このゲームで勝つ,あるいはよい結果を出すために1年間計画を立て,トレーニングを積んできている。しかし,そのゲームにおいてよい結果が出なかった場合,当然問題となる点があるということになる。そして、その問題に対して新しい課題を持って再びトレーニングが開始されるわけである。したがって,ゲームは最終目標かつ1つの理想ゲーム像を作り出す中間のチェックポイントということができる。
 試合におけるゲーム分析は,自分のチームの問題点を客観的にとらえられるという点で,今後のチームだけではなく,次に対戦する相手チームの状況をつかむためにも非常に大きな役割を持つ(例えば,相手チームのあの選手のシュートは,この位置から打ちこのコースに多くいくというような情報や,そのチームは速攻中心のチームであるというような情報)。つまり,対戦前に相手チームの特徴をつかんで,それに対処する戦術を立てて練習することができるからである。
 このようにゲーム分析は,自分のチームの現在の状況判断や問題点を客観的に評価すること,また,相手チームの状況の把握とその対処に大きな役割を持つものである。
 このゲーム分析には,以下の2つの方法が行われている。
① スコアシートを用いたゲーム分析従来のように,それぞれのチームがいろいろな形式のスコアシートでゲームを記録し,様々な観点からゲームを分析する。
② コンピュータを用いたゲーム分析
 これまでも,ソウルオリンピック,90年チェコでの男子世界選手権大会,韓国での女子世界選手権大会,また,日本でもハンドボール協会の指導方法委員会を中心に,コンピュータによるゲーム分析を本格的に開始している。
 ここでは,比較的簡単に誰でもどこでもつけられ,いつでも見直すことができる,スコアシートを用いてのゲーム分析の方法と評価の仕方について,1つの例をあげて説明を行うものとする。

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