セットの攻撃局面のタイプ

セットの攻撃局面は、攻撃を意図的に組み立てて行うことが多いので、そのチームの考え方が色濃く出るものでもあります。また攻撃回数に占める割合も多いことからゲームの勝敗の鍵を握るものとして、チームに応じたチーム戦術を練らなければなりません。セットオフェンスを概観してみるとその攻撃方法に4つの方法があると考えられます。(図6)

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◯ポジションの配置後、個人の判断によって攻撃活動がなされるもの(フリーオフェンス)

◯そのチームが持っている基本的な動きによる攻撃

ゲームを見ているとチームによって全体の動きに特徴が見られます。ポジションの配置やきっかけに、そのチーム独特の動きを持っているもので、相手の防御状況によって基本的なチームの動きに変化をつけて対処していくものです。その攻撃活動は二つのタイプに分ける事ができます。

◉循環型攻撃

各個人のホームとなるポジションから攻撃活動を始め、攻めた後は自分のポジションにもどってくるもので、韓国スタイルと呼ばれるものです。

◉非循環型攻撃(ポジション移動型)

攻撃のきっかけで、クロスやスルーなどの移動攻撃を行ったり、展開部や突破時にポジションの移動が伴うものです。

◯特定コンビ

二人、三人が決められた動きで突破するコンビネーションで、チームの戦術的な動きの中で、当人同士がわかっていればゲームのなかで行えるものです。

◯フォーメーション

チーム全体のプレーヤーで、ポジショニング→きっかけ→突破→シュトの経過を意図的に行い、ノーマークを作るものです。このチームとしての動きは、ノーマークをつくる基本的な道筋を軸に、相手の出方によって変化できる脇道も作られているのが一般的です。ゲームの中で得点や攻防の状況を勘案しタイミングを計りながら実施するものです。チームが通常的に行う基本的な攻めやフリーの攻撃とは違ったきっかけや展開が行われるために見分けをすることができます。チーム全体で意図的な動きをするだけに、実施するタイミングによっては勝敗に大きな影響を及ぼす事があります。
 通常チームはこれらのタイプの攻撃活動を実施する割合には違いがあります。フリーを中心とするチーム、チーム独特のきっかけを重視した攻撃を中心とするチームに大別されますが、巧みなゲーム運びには、特定コンビやフォーメーションは、チームにおいて準備されていなければならないものです。

・各局面を構成する要素

図7は、局面の循環と局面を構成する要素を表したものです。それぞれの局面にはチーム戦術があり、そのチーム戦術はグループ戦術によって、グループ戦術は個人戦術によって構成されます。以下同様に技術、体力と局面の構成要素が示されています。これらの要素は、ゲームに内包されるものであり、独立して存在しない事を示したものです。トレーニングに際してはこのことを、良く理解して、練習がゲームに結びつくようにしなければなりません。

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(参考資料)
2016リオ・オリンピックにおけるハンドボール男女出場選手の チーム別に見た身長、国際試合出場回数等について
2013男子・女子世界選手権大会出場選手の国別、成績別身長・体重について

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