はじめに

競技力は,技術・戦術・体力(形態と機能)・精神力等の要素が関与しあって発揮されるものである。日本のチームがその要素の一つである体力面の形態で,劣勢にあるは否めないことである。したがって国際的に優位に立つ競技力を獲得していくために、技術・戦術・精神面で高度な能力を獲得していく努力をしなければならないことは言うにまたないことであるが、体力面において形態面の劣勢を補うために機能的な体力面を向上させるように努力が求められるところである。かつて日本初の外国人監督であるオレ オールソン監督が、1997年熊本世界選手権大会に向けて、1日6回の食事によって体重を増やし、ウエイトトレーニングによって体力面の強化を図り、競技力向上の下支えをして成果を収めたことは記憶に新しい。

古くて新しい問題であるプレーヤーの形態面について世界レベルの現状を把握することにより、日本の競技力向上ための一資料としたい。

調査方法

国際ハンドボール連盟のホームページより各大会、各チームの資料をダウンロードし統計整理した。

男子(各大会24チーム)
女子(各大会24チーム)

※ 日本チームは男子はユース、女子はすべてのカテゴリーに出場している。

結果

1)全体における身長、体重の平均

表1−4は、各世界選手権大会に出場(登録選手16名-項目に記載のない選手もいるために全参加選手数と合致しない)した選手全体の平均である。

h1-4

男子は、身長において世界レベルの平均はフル代表,ジュニア、ユースの順に190.1、188.1、188.3㎝である。各カテゴリーとも160㎝台から210㎝台の間に分布している。各カテゴリーの間で大きな差はないと言える。体重においては平均は、フル代表から順に92.6、85.7,85.4である。60㎏台から約130㎏の間にあって、フル代表とジュニア、ユース間に約7㎏の差がある。
女子では、身長において世界レベルの平均はフル代表から174.8、173.9、173.0㎝である。各カテゴリーとも150セ㎝台から190㎝台の間に分布している。各カテゴリー間には約1㎝の差がある。体重では,平均は順に69.2、67.3、66.5㎏である。50㎏-100㎏前後の間に分布している。年齢が下がるほどばらつきが大きい。

2)参加国別の形態(男子)
下図1、は、男子ナショナルチームの平均身長、最大身長、最小身長およびを成績順に表示したものである。平均身長は、15位を境に上位は190㎝以上になっている。上位3チームは210㎝を超える選手を擁している。
図2は,体重を表したグラフである。16位のエジプトまでが90㎏を超えている。モンテネグロだけが甲斐にあって90㎏を超えている。

日本の身長体重は、2014アジア大会に出場した選手の値を参考として示した。
表や図に使われる略式国名は次の通りである。

男子身長 男子体重

表5−7は各カテゴリーにおける参加国別の身長と体重を数値で示したものである。空白は未登録のチームである。

men-country-t

3)参加国別の形態(女子)
下図3は、女子ナショナルチームの平均身長、最大身長、最小身長を成績順に表示したものである。平均身長は、上位のチームは平均175センチを超えている傾向にあり、下位はそれを下回っている傾向にある。
図4は,体重を表したグラフである。全体として,平均は70㎏前後である。その中にあって65㎏に満たないチームとして韓国、日本がある。

女子身長

女子体重

women-country-t

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