〈ゲーム局面〉

ハンドボールのゲーム局面には、「攻撃」に「セット」と「速攻」、そして「防御」に「セット」と「戻り」といった計4つの分節があることはどこの国でもほぼ共通に認識されている。しかし、それらの下位の区分は、国や指導者のゲーム解釈によって違いが見られる。筆者は、諸外国の傾向を踏まえた上で、現場の仲間たちとの間で共有されてきた用語を用いている (図5)

まずもって各局面は、システムとしてのチーム戦術の課題性を明示する。すなわち、「切り換え局面」は、攻防を切り換えようとすること。「セット」の「攻撃」では、「準備局面」の「ポジションにつく」は、敵方や味方のチームの特徴に応じて、どのポジションにどのような特徴をもった選手をつけようとするかということ(図6)。A大学では、監督がそれを決めてきた。「位置どり」は、ボールを回しながら、ボールを持った者は、動きの中でシュートチャンスを探り、ボールを持たない者はプレーできる状態になろうとすること。「展開局面」の「きっかけ」は、シュートしようとするか、もしくは1対1か2対2の情況で突破を試みながら、敵方を崩そうとしてパスを出すこと。すなわち、事を起こそうとする契機である。「きっかけ」Auslösungを工夫することは、最近諸外国でも重視されている。「継続」は、味方の「きっかけ」にクロスかパラレル等の動きで、計画的か即興的に合わせ、パスを繋ごうとすること。「終決局面」の「突破」は、1対1の情況で、フェイントを使って突破しようとするか、2対2の情況で、クロスカットインやパラレルカットイン等を使って2対1を作って走り抜こうとするか、あるいはポストへ最終パスを通そうとすること。「シュート」は、敵方に対して自分の間合いをとり、適切な投げ方をしようとすることである。

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