〈ゲームの流れ〉

ゲームの流れというものは、ゲーム局面の連続体である。ゲームの局面は、球技の中でも、いわゆるゴール型のゲームと打ち返し型のゲームに典型的に観察され、際立った攻撃と防御の局面が現われるというⅹⅹⅵ 。球技を個人や集団の動きの形態という視点から、敵陣突破型、打ち返し型、投・打球型、球運び型に分類してきた。ハンドボールは、サッカー、ラグビー、バスケットボールと同様、敵陣突破型に位置づけられるⅹⅹⅶ 。いずれの種目にとっても、チーム戦術として、「突破」が重要な局面となるからである。さらに、敵陣突破型は、ボールを敵方チームのゴールに入れ、味方チームのゴールを敵方の攻撃から防御することによって、一定の時間の中で得点を競い合うゲームである。その中でもハンドボールは、他の同類の球技と異なり、ゴールエリアの存在が、その付近での攻防の動きと中盤での攻防の動きとを明瞭に分けてしまう特徴があり、ゲームの構造特性は比較的つかみやすい。これらの特性は、ハンドボールに独自の体験空間をつくる。

また、ゲーム開始から最初の五分までの時間帯は、ゲームの流れをつかむために非常に意味がある。実際、ゲームは25分ハーフで行なわれ、得点結果は、前半13対9、後半10対11、合計23対20で我がチームがTG大学に勝った。ここではゲーム経過をゲームの流れとして、体験空間と体験時間から記述してみたい(図34)

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