ゴールを目指して、行きつ戻りつするボールを中心に、個人や集団の攻防の動きは可変的な様相を呈し、それらがゲームの全体経過に流動性を与えている。その流れに身をまかせつつ、時として我がチームは自分たちのリズムを生み、ゲームの主導権を握っている。「昨日ビデオでじっくり観察し、対策をもって臨んだ第2戦でした。相手の動きを読みやすく、ゲームにはすぐ慣れました」(O選手「部誌」)。前半5分前には、ゲームの流れと敵方の動きを読み、セットディフェンスでチャージをもらって反撃に転じることができた(場面①)。これが我がチームの戦い方の方向性を決定した。さらに、前半の10分過ぎ頃には、戻りのディフェンスでボールを獲得し、反撃速攻から得点にまで繋げている(場面②)。ゲームの切り換えと得点が自チームのリズムを形成した。こんな時は、「声が出て雰囲気もよかった」が、常にそうはいかず、「波があった」(皆の反省「部誌」)といえる。「速攻のイージーミス(特にシュート)をしたため、前半苦しい部分もあった」(O選手「部誌」)。一つのミスが敵方に有利さを与えてしまうのである。後半になり、一進一退の様相となった。終了六、七分前、ゲームの流れを把握していたベンチからの指示で、セットディフェンスのシステムを変えた(場面③)。敵方の攻撃のリズムが崩れ、ミスから反撃速攻という自チームのリズムが蘇った。その後はゲームの流れを引き寄せて、ゲームをほぼ支配してしまった。

図3と4のスケッチにおいて、ゲームの切り換え(折れ線)と得点(ゴールまで到達している直線)を誇張することにより、ゲームに流れやリズムがあることを確認することができる。我がチームは、ほぼゲーム構想通り、中盤やゴールエリア付近で、場面①②③に代表されるような意図的な切り換えに成功していることが分かる。

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