の供述は,客観的な普遍妥当性をもつものとし て,公共化への傾斜は可能であろう。

Bの視点では,技の「運動形態的構成要素」 と先取り動作の伴った「運動技術的構成要素」, そしてずれとかといわれるような関係的要素 の3つの拠点から,①印象分析→②工夫して撮 影した映画による印象分析→③「映画記録法」20) による分析へと,自己観察で補いながら他者観 察されるべきである。  

さらに,ハンドボールにおける運動の体系化 ということを考えるならば,技の運動経過が明らかにされていく過程で,技名というものを術語として考案しなければならない。すなわち, 一般共通的な技の形態を表わす「姿勢基本語」 と「運動基本語」,そして細部を規定する規定詞を,21,22)実際のハンドボールの運動に照らし て,検討する必要がある。その際,金子がいうように,技の技術的機能面は,技術改革に対応できるように,技名によって運動経過を束縛し ないこと,23,24)さらに技名は,運動表象が得られ,他の技と区別されることにより運動類縁性が明らかにされ,共通理解に基づく略語として, 共通語化25)される必要がある。資料①に示し たようなドイツ語圏の表記は,運動遂行者にとっての体のさばき方を表わしているので,練習の対象となる技の表記の仕方の方向性を暗示するものと考えられる。  

ハンドボールのような球技における運動は複雑な要因が絡んでいるので,観察と記述によってとらえるのは大変難しい。しかしながら運動 形態学的考察法のうち,特に自己観察法と他者 観察法を正確なデータが得られる範囲内で創意 工夫することにより,ハンドボールにおける特有な運動もとらえられよう。その方向性と問題 性をまとめると以下のようになる。 143z

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