私は長きにわたってハンドボールを競技スポーツとして行ってきた。筑波大学では、ハンドボールのコーチング論の職にあり、部活動ではハンドボール部の監督を41年間していた。

定年を機に今では、小学校のハンドボールの授業の支援を行っている。5年を経過したが、つくば市の小学校8校で、3年生から6年生までの授業に携わっている。勿論私一人ではなく、つくば市の元校長先生や筑波大学ハンドボール研究室の先生方、大学院生、学生にお手伝い頂いている。

私たちが育った小学生時代と今では環境的に大きな変化がある。学校や地域で思う存分遊び、校庭や原っぱでソフトボールや相撲、馬跳び等に興じた。プールがないために川や池で魚を捕り、そして自己流で泳いだ。運動の基本的なことは、自然に学び習得していたと思う。

今の子供は、日が暮れるまで自分たちだけで遊ぶことなど不可能である。 生涯スポーツは、一つの願いであるが、私たちが何らかの働きかけをして、運動スポーツを楽しむ術をすべての子供に身につけさせてあげたいと思う。

小学校は、子供が初めて体育・スポーツを学ぶ場である。すべての子供に等しく与えられたこの時間は、スポーツを学ぶ貴重な時間である。 体育の時間は週に3時間ある。指導要領も素晴らしく整備されている。この趣旨通り子供が体育を学んでいけば、生涯体育・スポーツの実現のみならず、競技スポーツのレベルも上がるに違いない。  

でも現実は厳しいのである。小学校の先生は大変に忙しい。体育の準備もままならない。得意不得意もある。生活の中で子供達の運動時間も減っている。運動の基本的要素である投げる能力も落ちている。  

私も、定年をとっくに過ぎているが、何とかシルバーパワーを発揮して、子供の成長のお手伝いが出来ないかと思う。それには長らく携わってきたハンドボールしかないのであるが、5年間授業のお手伝いをしてきて、ハンドボールは体育教材の一つとして以下の優れた特性をもっていると確かめられたと思う。

このような特質をもったハンドボールを是非とも子供達にやってもらいと思う。そのためには、ハンドボールの指導が誰にでも出来るという環境をつくっていかなければと思う。