3 系統的指導における教材づくりとは

一般に、授業において系統的な指導を目指す場合、まず教材づくりが大切になるといわれます。しかし、それはどういうことなのか、ここで考えてみたいと思います。教師にとって、時間は有限であり、与えられた授業時間の中で、前もってどのような運動財で、何をどのように、子どもたちに身につけさせようとするのか、すなわち、子どもたちの学習すべき内容を明確にして、それを道しるべにしてステップアップさせて行こうとすることは、やはり重要な意味をもちます。

運動の指導は、教師と子どもたちとの共同的な営為であり、特に両者を介在するのが教材であり、それは学習目標を首尾よく達成するための手段であり、まさしく子どもたちの運動学習の対象でもあるからです。したがって、教材づくりとは、運動財に手を加え、それを学習目標とする運動に再構成するとともに、その運動に内在する学習内容を子どもに身につけさせ易くするための合理的な手段を講じる際に、学習対象となる運動を、教師が主体的に創造することといえそうです。

特にボール運動の教材づくりの柱は、まず子どもの学習の準備状況を把握した上で、授業で目指されるメインゲームとその下位教材としてのゲームを系統的に準備することです。

ここで、球技の系統的な指導法については、ドイツを中心に、以前より論議されています。そこでは、目標とする正規のゲームならではのもの(ゲーム理念)が一番大切にされていて、その理念を基にして、ゲームが構造的にとらえられ、学習内容が明確に引き出された上で、発育・発達に応じてゲームを教材として配列し行くという方向がとられています。

ここではこれを①教材配列の系統性の側面といいます。一方、教師が実際の指導の中で、子どもと出会いつつ、子どもの現状に即して、教材づくりをして行く方向が考えられます。ここではこれを②実際の指導の系統性の側面といいます。ここでは、具体的にハンドボールを取り上げて、まず①の側面を掘り下げてみます。

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