〈場面② 集団の戻りの防御の動き(図8❶〜❸)

戻りにおいて敵方の一人一人に密着しようとすることで、自分たちのチームの力動を直接届かせて、敵方チームの速攻のボール運びのリズムを崩した。「中盤でのプレス」が敵方の勢いを止めたのである。

〈場面③ 集団のセット防御の動き(図9❶〜❷)

K選手(トップ)が敵方左利きエース(右45度)を、ボールに触れさせないように方向づけたため、敵方チームはボールを回せる範囲が狭まり、不利な情況に追い込まれた。「攻撃ゾーンの限定」である。

いずれもゲームの流れを味方チームに呼び込んだ時の防御の動きの形態であり、伝える価値があるとみなされた。こうしてみると、2対2のコンビネーションプレーとか、チーム戦術には集団の動きの力動性というべきものが感得できる。これは、戦術の理論を認識したり、個人のばらばらの意識を寄せ集めるだけでは本質的に形成されはしない。そこには、共通の動きの感覚といったものが、一人一人に形成されている必要がある。したがって、これまで攻防のシステムとして考えられてきたチーム戦術は、ここにおいて、実は移動に力点が置かれた集団の動きの形態として把握できることになる。こうして集団の動きの形態は、ゲーム局面に示された諸課題によって分節化される。

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