3 ゲーム情況における意味分析の例証  

この例証は、「ディフェンスの勝利」という一言で表現できる典型的なゲーム内容を有している。A大学のこの時期の練習は、防御の動きをつくることに力点を置いてきた。ここでは、大会に向けてのミーティングにおけるゲーム構想、大会期間中の前日の敵情分析と前夜のミーティングにおけるゲーム構想、当日のゲームにおける実際の戦い方について、意味分析の対象にしたい。とりわけゲーム分析では、本大会後のミーティングにおいて、当時の選手たちと共同的に分析した時の内容を中心に、今回再度、現在の選手たちとビデオを編集し、共同的に分析したことを加えて記述する。

〈ゲーム構想〉

これまで、戦術的にゲームを構想する中で、チームの全員にゲームの構造的な認識をもたせるようにしてきた。我がチームで取り入れているゲーム構想の考え方を図示し(図1)、それにしたがって、我々が構想した内容を次に示してみよう。

〈一般ゲーム構想〉

チームには素人もいることから、大会前のミーティングでは、そのつど選手にプリントを配布し、ゲーム構想の組み立て方(図1中⑴〜⑶)とゲーム局面(図4)のとらえ方を理解させた上で、「共通の基盤」となるチーム戦術を確認してきた。地方都市にいる関係上、情報はほとんどないので、この時点では一般ゲーム構想に留まるざるを得ない。一般ゲーム構想では、「粘りのあるディフェンスからボールを奪って速攻」をテーマにし、とりわけ防御面で、次のようなディフェンスシステムを予定した。

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