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ソ連(旧)・韓国のトレーニング構想

ソ連(旧)のトレーニング構想

1988年のソウルオリンピックで金メダル,1990年の第12回男子世界選手権において銀メダルをとり,文字通り世界のトップとして君臨している男子ナショナルチーム監督のアナトリー・イトチエンコは,「ハンドボールは今後ますますテンポが早くなり,バスケットボールに似た方向に進む」といい,速攻を攻撃の中心においたテンポあるハンドボールをめざした。その結果,上記したような成績を収めることになった。

彼はこの構想の中で,基本的にプレーヤーのスピードと可動性を高めることを要求した。彼はまた,トレーニングにおいて,可能なかぎりすべてのプレーヤーが身長に関係なく素早く動けるようにいろいろな試みを行った。かれらの分析によれば,ハンドボール1試合で,①プレーヤーは約6,000m走り,②15〜30mの間を35〜45回にわたって素早いダッシュを行っているといっている。そして,実際のトレーニングの中では,全体の練習の3分の1をダッシュや速攻練習に費やしている。したがって,プレーヤーは1つのトレーニング単元の中で,50〜60回のダッシュを行うことになる。

これらのトレーニングの様子は,ビデオによって分析され,チェックされるというように,1つの構想に基づき厳しいチェックの中で,目標達成のためにトレーニングがなされていたことがわかる。 

以下に,ハンドボールプレーヤーに必要とされる専門的体力の1つの指標として,ソ連(旧)チームの基準値をあげてみた。

韓国のトレーニング

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また,同じ88年のソウルオリンピックにおいて銀メダルとなった韓国は,銀メダルという結果だけではなく,そのバリエーションあるパステクニック,機敏なフットワーク,鋭いスピードあるパスワークからのカットインプレーなどで,ハンドボール界に新たな旋風(アジアスタイル)を起こした。形態的に恵まれないチームが,いかにして大きな選手に対等に戦うかというものを見せつけ,世界に明らかにしたといえよう。 

その韓国のトレーニングのうち,体力面を参考にあげてみたい。

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