図にみる体重当たりの無酸素パワーの平均値(14.08W/kg)は,バレーボール(15.7W/k),サッカー(15.2W/k)の競技種目より低く,体重当たりの最大酸素摂取量の平均値(55ml/kg min)は,ソウルアジア大会参加種目中のほぼ中間位であった。 

ハンドボール選手として必要な体力水準は,相対値で表した図のAを目標水準とした体力づくりや,コンディショニングとしての筋力づくりや栄養管理が必要となってこよう。 

149-z無酸素パワー(脚)の測定方法は,自転車式パワー測定装置(コンビ社製・パワーマックス)を用いる区分負荷法で10秒間全力ペグリングで実施した。また,有酸素パワー(最大酸素摂取量)は,トレッドミル走の負荷漸増法で測定した。 

次いでハンドボール選手に必要な体力特性としては,高い筋力水準がのぞまれる。ナショナル男子選手(1991年度)をみると,背筋力/体重の平均値は2.4であり,大学ハンドボール寒手の2.7(勝田ら)よりも低い。ナショナル選手レベルには,高い等尺性筋力(アイソメトリック)として3.0(世界一流選手の水準)を選考基準に設定されることがのぞましい。かつての蒲生選手(1978年度世界選手権最優秀選手)や,現在の西山選手(1981年世界学生選手権大会得点王・日新製鋼)や,中山選手(ナショナル強化指定選手・福岡大学)などがこの水準を超えているにすぎない。 

また,等尺性屈腕力,等速性体幹捻筋力,等速性脚筋力は相互の相関関係がみられなかったことは,部位別に筋力のバランスに優劣のあるものといえよう。

◆スポーツ医・科学研究実施概要

【日本体育協会スポーツ医・科学研究報告】

(1)体力とトレーニング処方に関する研究
  • ○女子ハンドボール選手の筋力トレーニング処方に関する研究(1980年度日本体育協会スポーツ医・科学研究報告)
  • ○ハンドボールの競技力向上に関する研究(1982)
  • ○ハンドボール競技におけるトレーニング処方の方法とその効果について(1983)
  • ○ナショナルチームに対するトレーニング処方のあり方の検討(1983)
  • ○女子ハンドボール選手の体力とトレーニング効果について(1983)○ハンドボール歴代オリンピック選手及び昭和60年度日本代表選手の体力について(1984)
  • ○−流ハンドボール選手の発掘と育成のための体力的研究(1985)
  • ○ハンドボール選手に必要な体力づくりのための運動処方の方向(1989)
  • ○ハンドボール選手の体力測定結果からみたトレーニング処方の方向について(1989)
  • ○男女ナショナル選手の体力特性(1990)

体力トレーニング目次へ 次ページへ