現代スポーツコーチ実践講座7
一般的には,シューターが判断し終わる時機のゴールキーパーの動作は, シュートに対してつめ終わり,シュートボールに対して跳び出そうと構え ている時機である。あるいは,シューターの判断を誤らそうと「誘い」(フ ェイント)をかけている時機である。したがって,シューターは,ゴール キーパーから遠い場所にスピードボールで投げるか,ゴールキーパーの予 測をはずしてシュートしなければならない。
ところが,スピードボールを投げることのできるプレーヤーの場合は, このような時機に,先にG・Kが,ある方向に動いてくれる可能性がでてくる。そのような場合,シュートしようとする前にゴールキーパーが動いてくれるのであるから,逆方向にシュートすることは,非常に容易なこととなる。これは,ゴールエリアに跳び込んでうつ近距離のシュートの場合にもあてはまる。
スピードボールを持つシューターに対するゴールキーパーが,先に動い てしまって逆をづかれたり,シュート動作を見すぎたために,動けずにゴ ールインという例が多く出てくるのはこのためである。このようにボールのスピードの大きいプレーヤーはシュートを入れるのが容易になるばかりでなく,シュートのちょっとしたしぐさ(フェイント)で,ゴールキーパーやD・Fを混乱に陥れることが可能になる。スピードボールを投げることのできる意義は,ハンドボールではたいへん大きいと言わざるを得ない。