ホ.ボールのスピードの影響

ボールのスピードがあれば,G・Kは早い時機から跳び出しの動作を開始 しなければならない。普通のボールスピードを持つシューターのシュート阻止においても,フオワードスイングの始まった瞬間ぐらいが,判断の限界である。

ところが普通より速いボールを投げるプレーヤーは,それより前に判断しなければならないことになる。フォワードスイングを始める前に動き出さなければ間に合わないからである。スピードボールを投げることのできる人は、フォワードスイングの動作時間も短くなるのでなおさらである。判断する時機が早ければ早いほど不正確になるのは述べたとおりであるが,待っていては間に合わないので,不正確でも早く動き出さざるを得ない。早く動き出すことは,またもう一面の大きな欠点を呼ぶことになる。それはシューターに動きを察知されて逆をうたれるということである。これはシューターの判断の時機というものに関連する。

へ.シューターの判断の時機

ゴールキーパーの判断の時機と同様にシューターも判断の時機というものが考えられる。シュート動作も全力で行う瞬発的な動作である。しかも方向性があるために,G・Kの跳び出しと同様に判断の時機と実際の動作の開始の時機との間に反応時間のずれがある。

シュートには,バックスイングから方向を決めて全力で行うものとバックスイングで止めて,相手をうかがって投げるものとの2種類のシュート方法がある(図27,28)。74-z1 75-z  前者の場合は,バックスイングの始まる0.1秒前に,後者の場合にはフォ ワードスイングの始まる0.1秒前に判断の限界があると思われる。(土井秀 和との共同実験では,前者,0.1秒前,後者,0.05秒前までとなっている。)

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