実戦ハンドボールQ&A
日本の選手は外人に比べて特に腕力がないといわれています。たしかに日本にきた外人選手を比較してみると、背の高さは同じくらいであっても胸のあつさ、手の大きさ、腕っぶしなどはるかに外人の方か大きくたくましいのです。ハンドボールは相手と接触するプレーが多く、腕力は技術を支える上での大切な体力的要素になります。
ディフェンスに少々あたられてもそれを振り切ってシュートしたり、相手の突進を自分のからだの一部として腕で受け止めるなど、腕っぷしの強さが必要になります。腕力といわれるものは、腕の筋力とも、腕の瞬発力(パワー)ともいわれます。
パワーとはスピードと筋力とを合わせたもので、いくら重い物を持ち上げられても(筋力要素)、その持ち上げる動作にスピードがなくては、パワーとして大きな値を示しません。
一般的なトレーニングとしては、筋力をつければ、必然的にパワーは大きな値を示すことになります(パワー=スピード×筋力)、またパワーそのものを高めることを狙ったトレーニングもよいでしょう。筋力をつけるためには、続けて八〜一〇回くらいできる負荷の運動を毎日(一日おきでも同じ効果を期待できる)行うのが最も効果があるとされています。八〜一〇回続けてできる運動は、最大筋力の三分の二の負荷に相当します。
パワーそのものをつけるためには、最大筋力の三分の一くらいの負荷で最高のスピードでそれらの運動をするのが効果的とされています。皆さんがよくやる腕立て伏せを例にとると、普通のやり方では五〇回くらいかるくできる人が多いようです。このやり方では、筋の持久力的なトレーニングになってしまい、筋力やパワーの効果的なトレーニングとはいえません。
筋力の効果的な養成を狙うためには、負荷をかけて八〜一〇回くらいで精一杯といった運動を行い、パワーのトレーニングならそれより負荷を小さくして全力スピードでやるといったことが必要になります。では腕立て伏臥腕屈伸を例にとって、負荷のかけ方を述べてみます(下段の写真参照)。
他の補強トレーニングも同様に考えるべきです。
腕力を増すためには、上腕や前腕を鍛えるだけでは強くなりません。三角筋、大胸筋、広背筋など上体の筋力とそれを支える全身の筋肉をトレーニングしないと強くならないのです。上半身や全身をトレーニングする方法は、この本の中でも述べられていますので、参照してください。ここではチューブを使って、おもに投力を増すためのトレーニング方法について述べてみます(下段の写真参照)。
筋力を強くする方法として一般的に行われているのは全体的に筋肉を強くする方法ではなく、部分部分を強化していく方法が用いられることが多いのですが、昔から行われている方法もまたよいものです。上体を鍛えるものをあげてみますと、
などがあります。
(大西)