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2 ルールからみた試合運営

①ペナルティースロー

 攻撃側プレーヤーがシュートを試みて失放する原因は,次の4つのケース以外は考えられない。

ⓐシューターがミスを犯した場合

ⓑゴールキーパーのファインプレーによって阻止された場合

ⓒ防御側プレーヤーのファインプレーによって阻止された場合

ⓓ反則によって阻止された場合

 この中でペナルティースローの判定が下せるのは反則による場合だけであり,レフェリーは,シュートが失敗した際にどの理由によるものかを判断すれば,様々なケースにおおいてペナルティースローを与えるべきかどうか迷うことはない。

② ボールのカット

 相手の持っているボールに対する行為は,次のように規定されている。

 〈8の2〉

 いかなる方向からでも,開いた片手で相手のボールに対してプレーすることは許される。 〈8の6〉

 相手が片手または両手で持っているボールを奪いとったり,たたいたりすることは禁止される。

 〈8の7〉

 こぶしで相手のボールに対しプレーすることは禁止される。

 すなわち,〈8の2〉からすると,開いた片手であればどのような行為でも許されている。しかし,〈8の7〉によってこぶしの使用が禁止され,〈8の6〉によってたたくこと,力ずくで奪いとることが禁止されている。

 したがって,レフェリーが判定する場合,まず開いた片手なのかどうかを判断し,次にたたいているのか力ずくで奪ったかどうかを判断すれば,迷うことなくファール,ノーファールの判定を下すことができる。

 ボールカットが,安易に防御側の反則として判定されるケースが多々見られるが,決して相手の手・腕への接触が禁止されているわけではないので,ボールカットの動作で相手の身体に触れたとしても,すべてファールになるわけではない。

③ チャージング
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 チャージングを判定する場合,一番大切なことはどちらが先にその位置を占めたかである。どの程度のタイミングのものを先に位置を占めたと判断するかは,レフェリーの主観によって決定されるものである。防御側が先に位置を占め,攻撃側が遅れて衝突したと判断すれば(図8−2)攻撃側のチャージングであり,攻撃側が先に位置を占め,防御側が遅れて衝突したと判断すれば(図8−3)防御側の反則である。

 しかし,同時にその位置を占めた結果衝突したと判断すれば(図8−4),それはお互いにノーファールであり,競技は続行されなければならない。身体接触が起こった際に,どうしても防御側の反則として判定されるケースが多々見られるが,お互いに位置を取り合う権利を持っており,反則となるような動作をしていなければ笛が吹かれるべきではない。

 このケースを判定する場合に,攻撃側プレーヤーの動きを中心に観察を行って判断しようとすると,どうしても防御側の反則と判定をしてしまいがちになるが,防御側のプレーヤーの動きを中心に観察してファールしたかどうかを判断すれば,正しい判定を下せることが多い 。


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