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 早い動作を行えるようにする。

 2.坂道の傾斜をかけ降り,走サイクルを強制的に早めての走行練習をする。

③全体の状況を把握できない。

 く思考力強化〉ダッシュに意識が奪われ,ゲームの状況を予測することを忘れがちである。相手のシュート後,必ずボールを獲得できるわけではなく,リバウンドボールで相手が継続して攻撃する場面も起こる。
 速攻でのシュートチャンス,リバウンドボールを相手が獲得,相手チームのフリースローからの攻撃など,様々な状況での思考パターンを多くもたせ,あらゆる状況に対応できるようにする。

 〈間合い確保〉防御も全力で戻るため,全力の前進はかえって前方の防御者に近づくことになる。走速度に強弱をつけ,防御との間合いをとる。

技術の指導とポイント

防御から攻撃への素早い切り替えは,速攻を成功に導く。ただ,むやみに速攻を仕掛けてもそのチャンスは広がらない。速攻時の注意点は次の 通りである。

① ディフェンスが優位な状況のときにスタートダッシュをする。例えば,ディフェンスにプレスされ,フルスイングでシュートできない状態でシュートされたときが,スタートダッシュのチャンスである。

②シュートされたボールがキーパーやゴールポス トに当たり,リバウンドボールとなってゴールエリア付近に戻ってくる場合があるので,スタートダッシュ直後に後方を確認する。

③コート内の自分の位置とディフェンスの状況を判断して,直進すべきか方向変換すべきかを判断する。

(2)方向変換

技術

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 速攻時の方向変換は,ディフェンスのいない地 域への移動や,シュート確率の高いコート中央へ の移動,また,防御から攻撃への切り替え時に必 要である。そのためには,方向変換はシャープに 行わなければならない。ゴール方向への直線的な 走行は,防御されやすいので,弧を描くように走 るとチャンスは広がる。

①全力走

②前方にディフェンスがいるので方向変換

③弧を描くように走り,ディフェンスに近づかないようにする。

④前方のディフェンスの位置を確認する

未熟練者の特徴と指導

①シャープな方向変換ができない。

く筋力強化〉バーベルなどの負荷に加え,サイド キック系統のトレーニング。
〈意識の修正〉初心者は,前方への助走スピードをコントロールできないまま方向変換を行おうとするので,弧を描くように走る意識をうえつける。

く段階的指導〉

1.ハーフスピードで正確な方向変換ができるようにする。  

2.全力ダッシュの笛の合図で正確な方向変換が

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