間,生活指導に力を入れながら厳しさの中に楽しさをモットーに,そしてより効果的な練習を心がけてきました。前半の1時間の練習は徹底して基礎的なもの、特に三角パスやランニングパスには力を入れています。また,低学年を指導する際には,ゲーム的要素のある練習を取り入れてハンドlボールに親しませ楽しさを教えます。後半は楽しく練習試合です。練習の後には必ず反省をさせ,お互いに研究し学びあえる時間をつくります。ハンドボールの本やビデオで研究する子どもたちも少なくありません。また,日曜日に行われる中学生の大会や高校生の大会の決勝戦は必ず見せ,感動させるようにします。感動するとより一層練習に励むようになるのです。

それに、もう1つの練習,心のトレーニングがあります。早朝の清掃です。体育館の周囲や中庭の掃除をします。目に見えない多くの人たちのおかげでボールやゴール,そして体育館を使わせてもらっています。おかげさまでという感謝の気持ちを育てなくてはいけません。感謝の心が育つと,掃除も楽しくできるはずです。人のいやがる仕事を自分からすすんでできる子が人からも好かれ,チームワークも大切にできると考えて実行してい ます。

よりよい人間関係ができ,楽しくなってきたらしめたものです。子どもたちは練習を休みたがりません。休まないから少しずつ上手になっていきます。まさに「継続は力なり」は金言だということを私自身学びました。  

ふだんはハンドボールを中心とした練習をしていますが,その他にバレーボールやバスケットボール,それに陸上競技なども練習に取り入れ大会に参加させています。ですから目の前には常に目標があるので時間を大切に使います。集中して練習することによって持久力や調整力を高めることができ,試合度胸もついてくると考えるのです。また,ハンドボールで鍛えた子どもたちの適応能力は素晴らしいものがあり,他の競技でも県大会で上位の成績をおさめています。大会では勝つ喜びも覚え,負ける悔しさも味わいます。それらの体験を通して精神的にも鍛えられ,効果的な練習を自ら考え工夫していきます。  

父母の会の果たす子どもたちへの影響も大きいものがあります。練習を見にきてくださる熱心な父兄もいらっしゃいます。大会になると配車から飲物の準備まですべて任せます。試合はほとんどの父兄が応援にかけつけてくださるし,指導者としてこれほど心強いものはありません。父母同士の連携もより密になり,子どもたちのやる気を育ててくれています。父母と指導者が手をとりあって指導することにより,子どもたちは精神的にも肉体的にもより大きく,たくましく育てられるのだと思います。  

全国制覇,この体験は優勝はもちろんですが,培われた精神的な財産は,これから先,子どもたちの将来において計り知れない力を与えてくれると信じています。  

選手も応援団も熱く燃えた夏でした。          

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“勝利につながる指導を考えて”

      群馬県富岡市立南中学校 長谷川明宏  

私のハンドボール競技を指導する基本的な理念をまず書きたいと思います。

私は,陸上競技を高校,大学を通して取り組んできましたが,新任校でハンドボールの顧問をすることになりました。元来,負けず嫌いな性格のため,どのようにしたら強いチーム作りができるかを常に考えておりました。そんな時,群馬県の教員チームに誘われ,今までに体育の授業でしか行ったことのないハンドボール競技にたずさわることになりました。そこで感じたことは,1つには,人間関係の良さがチームのまとまりに大きく影響していること。2つには,ハンドボールという競技を教えるという立場で考えたとき,運動のすべての特性を兼ね備えているということでした。心身ともに成長期にある中学生にとって,欠かすことのできない競技であると感じたのです。これらのことが,今の私を動かしているような気がします。また、実際に自分自身競技に取り組んでみて,指導上大きなプラス面がありました。 

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