とした)ように指導していく。

教科においては,この第4段階への高まりを目ざしながら,指導を進めていけばよいのではないかと思う。

Column

指導者講演会講演から
“女子の指導について”

元女子ナショナルチーム監督 井 薫

永年女子の指導に携ってきましたが,「女子の指導は難しいでしょう」とよく聞かれます。確かに女子特有の難しさ,いやらしさを感じることは少なくありませんが,外からご覧になるほど難しいものではないとも思います。指導の基本姿勢としては,選手に平等に接することと,それから言行一致と言いますか,言っていることと行動が練習の場だけでなく,生活面とか学校や会社の中の行動と大差がないこと,つまりこうした点では,男子の指導と大きく変わることはないと思います。ただ,女子選手は非常にデリケートだと言われますが,むしろ指導者がよりデリケートでなければいけない面はあると思います。

かつて男女がそろって出場したモントリオール・オリンピックの際に,男子チームの竹野監督との話したのですが,男子のチーム監督は必ずしも現場の人ではなくても,大局感があり,掌握力があれば成果を得ることは可能だが,女子の場合は現場に関係のない人では難しいと思う。手とり足とりと言うのはややオーバーになりますが,かなり中に飛び込んで指導しないと難しい。そして,率先して引っ張る指導方法が大切であると思います。選手の個性を伸ばすことをたえず念頭において……。

女子のチームで次に大切なことは,選手個人にもチームカラーとしても,つねに女性らしさを出して欲しいと思います。外見は活動的でボーイッシュですから,女性らしさからはほど遠い感じでも,挨拶や礼儀,会話からはとても女性らしい,つまりハンドボールだけではなく,いろんなことに感性を持つことが自分を伸ばすことにつながると思うんです…。

 (昭和56年2月 公認コーチ養成講習会より)

5 指導の実践例 “日本一をめざして”

沖縄県浦添市立宮城小学校 川上喜真

 ≪「ヤッター。日本一だ」。気がつくと両こぶしを挙げながら大粒の涙を流している自分でした。子どもたちにとっても,先生方,同行した父母にとっても忘れることのできない素晴らしい体験でした。県大会の逆転優勝といい,全国制覇といい,「信じられない」という気持ちと,「先生方と子どもの心の結びつき,信念と努力の賜だ」という気持ちが交錯しました。≫

 これは全国大会に−緒に同行して下さった選手のお母さんのお便りです。

私たちのチームは,5年前に結成され,部員は,現在2年生から6年生まで45人ほどいます。学年の異なった関係から6年生は自然とリーダーとして世話にあたります。お兄さんとして信頼されることにより人間関係も深いものになって,先輩が後輩たちに手とり足とり教えている姿をよくみかけます。練習も熱心です。月曜日を除く毎日2時

次ページへ