いえるが,他人を批判する能力も高まる。自発的な協力態度をとることができるので,グループを中心に自主的活動をとらせることが,将来への愛好的態度の形成へと発展する。 神経系の発達が著しく,技術の習得を短時間で獲得しやすいなど,器用さが増してくる。動く物体に対する視力である動体視力や,ボールの重さを判別する重量弁別能は,10歳ごろまでに顕著な発達を示す。正確にタイミングをあわせたり,高所から着地する際に衝撃を緩衝する能力も向上する。しかし,この時期に獲得された技能が,10歳以降の骨格筋の発達によって部分的な小器用さで終わらせないように,修正させていく指導の継続が求められる。
小学校高学年になると,第2次性徴が出現する時期であり,形態的発育・成長はめざましいものがある。からだの発育・成長にともなって,運動能力の発達も著しい。自分の感情を抑えることができるようになり,社会的,道徳的なことがらに対して不正を嫌う傾向がある。競技規則に本物指向があり,国際ルールでないとゲームをしたくないという時期である。グループの結束力が強まり,リーダーを中心に協力しながら,運動を自分たちで工夫することができる。 中学年期にも増して,多くの技術の習得が可能になる。その際の重要な運動能力の課題としては,運動の前後の系列的順序を見越す能力を養うことである。この能力は9歳ぐらいから可能となり,多くの運動の基本となる協応運動を可能にさせる重要な役割を担う。小学校高学年の運動能力が飛躍的な発達をとげるのは,できごとの順序を見越す能力の発達があるからである。 小学校期の持久走能力は,トレーニングによる有酸素能力の増大はほとんどみられないといわれているので,このトレーニングは,走効率の改善である技能の向上といえる。