経験的にはかなり鍛えられたチームでも,集中的な練習を3時間こなすのは困難である。他のチームが3時間やっているからといって,また,朝練習をやっているからといって,その形だけを真似しても,選手にストレスを作り出すだけで効果は上がらない。

⑧ 練習リズム

 同じことをやるにしても,その練習の展開のスピード(順番が回ってくる早さ)によって効果が異なってくる。早すぎるリズムは持久的な体力的要素を要求する。遅すぎてはだれる原因となる。 通常は自分のやったことを自己評価できる時間をもって展開し,飽きず疲れずのリズムが適当である。練習の狙いによって練習のリズムを作り出すことも必要である。

⑨ ストツビングと技術の矯正

 指導者の大きな役割の1つに,技術の矯正がある。悪い癖は早めに摘みとらなければならない。身についてしまってからでは矯正できなくなってしまう。矯正すべき点が見つかったら,練習を止めて(ストッピング)正す必要がある。ストッピングすることによって指導者の考えていることがより具体的になる。
 また,要領のよいストッピングによって,技術に対する対話を選手と試みることができる。時によってはストッピングのない練習も必要であるが,練習にしまりをつけ効果を上げるためには必要不可欠である。

⑩ 動機づけ(興味づけ)

 初歩的レベルに近づくほど,ハンドボールに対する目標感が低いほど動機づけが必要である。また,同じ効果が得られるなら選手にとって興味深い練習ほど良いことは明白である。同じことの繰り返しでは飽きてしまい,いつしか悪い動作を身につけてしまうこともある。モチベーションエクササイズを取り入れたり,練習法を工夫するなど,選手を動機づけ,興味づけて意欲を持たせ,高い練習効果を得させることは指導者の大きな資質の1つである。

⑪ 練習における声

 なぜ声が必要なのか,よく考えて声を出させてほしい。技術に対する声は不可欠である。技術以外の声はどうするか。練習はお祭りではないはずである。1年生だけが周りで声を掛けていたりするのをみると,まるでお祭りの担がれ役と担ぎ役の関係である。スポーツの練習はお祭りではないはずである。練習において時として落ちる士気のために声を出すなら,そんなにたびたびではなく,また,誰が出してもその声に誰もが呼応しなければならないのではないか。

⑫ 安全の確保

 怪我の起こる原因は多種多様である。練習の方法が悪いため,コートの整備不良のためというよ
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