(※1)「パス」Paßを規定しているSchlagwurfは、動詞「打つ」schlagenから成る語幹名詞Schlagと名詞「スロー」Wurfの合成語である。それは、「シュートやパスにとって基本的で可変的な投げ方であり、その場合、スローを行う間中、打つ動作に似た腕の使い方が典型的である」(2:S.154)。従って、この意味を伝える訳語を探すのは難しいので、そのまま「シュラークスロー」とすることが考えられよう。しかしそれは、ボールを投げ 放つ高さによってそれぞれ独自の名称を持つことになるという(2:S.154)。加えて、次のパスとの関連も考慮しなければならない。従ってここでは、肩や頭の高さから投げるという打点に関する付帯条件が含意された最もオーソドックスな「シュラークスロー」を意味していると解釈し、「オーバアーム (スロー)パス」と訳出した。尚、パスやシュートの表記のためには、運助形態学の立場からそれぞれの構造を明らかにしておくことが必要である。とりわけ文献5,6のように、パスやシュートの体系に当たって運動基本語を「スロー」にする場合は、運動の機能面を重視した表記にするか、形態面を重視した表記にするかが問題となろう。

(※2) ここでは、腰の付近からボールを投げ放つパスと解釈し、「アンダーアームスロー」とした。