大西武三
市村志朗
近年国際大会で高レベルの成績を収めているフランス女子のセットオフェンスについて観察してみた。予選リーグ終了後・トーナメント戦の決勝までの3試合を観察すると、フランスは6つのパターンを使ってセットオフェンスに臨んでいることがわかる。基本的にセンターの29番がサインを出し、きっかけのコンビを使って攻撃しているが、ディフェンスの状況やフリースローで攻撃を止められたときには、バックプレーヤーの単独のカットインや、1対1をきっかけとするフリーオフェンスをしている。相手に退場が出たり、自チームに退場が出たときには、決められたのきっかけからの攻撃を行っている。この6パターンは、決勝トーナメント3試合に共通している。ただパスコースや動きにバリエーションをつけることで、予測を外すことも行っている。
セットオフェンスの戦術のタイプについてはすでに述べているので以下の稿を参考にして頂きたい
フランスがセットオフェンスに用いたタイプは、 「タイプⅠ フリーオフェンス」と「タイプⅡ2〜3人できっかけを作り、フリーで展開する攻撃」であった。
タイプⅡで用いられた戦術については次の通りである。
フランスは右バックポジションにいる左利きプレーヤーとセンターバックによるクロスプレイのきっかけを度々使用している。右利きと左利きのクロスプレイは、同じ利き腕同士でクロスを行うより効果的である。右利きが右側に、左利きが左側にカットインをすることは、常にシュート体制を維持しながら走ることが出来るためである。
この攻撃方法は、きっかけをより有効にするために、ポジションを移動してから攻撃を始めるもので、最初の動きは、シュートを狙うと言うよりは、ディフェンスのマーキングを代えさせるなどしてから、強いきっかけを行うもので、まえふりのある二段階きっかけと言うべきものと考えられる。同じ動きはスペインやオランダにも見られた。ヨーロッパにおける近年の共通の一戦術であると考えられる。
この攻撃戦術は、左、或いは右のバックプレーヤーが中央に向かってロングとポストプレーを狙いながらカットインし、それに合わせて片方のバックがクロス気味にプレイするコンビである。右利きと左利きのコンビであるために、単純ではあるが効果的な戦術となっている。センターバックはバックポジションに移動することによってフリーオフェンスへと展開する体勢を整えている。。
まず展開する反対側のバックがポストと合わせるカットインを行うことによってディフェンスの動きと注意を引き、次なる攻撃の下地を作る。次いで、センタープレーヤーがサイドに移動しながらサイドとクロスして中央に攻撃を展開していく、回り込んだサイドと同サイド側のバックがパラレルのカットインするところがミソである。
自チームに退場が出た場合は、両サイドが中央でクロスプレイを行って、ディフェンスを引きつけ、バックにつなぐという攻撃を徹底していて、成功もしている。退場が出たらと行って消極策は取らず積極的に攻撃している。
6,6対5 数的に有利なときの戦術
決勝トーナメント3試合を見た限りでは相手に退場が出た場合、徹底的に同じ戦術を使っている。相手が予測して動いてきた場合は、同じ動きの中でパスコースを代えるなどバリエーションで対抗している。 この攻撃については、次のページで説明している。