担当平岡秀雄

テーマ1:どうすればGKの逆をついてシュートできるか。(運動の先取りに関する研究)

一般的にはボールリリースのタイミングを遅らせ、キーパーの動きを見てその反対にシュートし ようとします。ところが、GK(ゴールキーパー)を見すぎるとシュータはフルスイングできなくな り、GKはシュート動作を長くみられるので、より多くの情報を得られるのでキーピングしやす くなります。

そこで、課題解決のため獲得した自己の経験から次のような考えで分析を試みまし た。

<研究1>

GKはいつシュートコースを判断し、動き出すのかを明らかにする。


 方法:4方向にランダムで光を点灯出来るようにし、ゴールのコーナー4か所(ボール1個分 内側)にタッチ板を設置した。

光点灯時機とタッチ板にタッチした時機を記録用紙に記録で きるようにした。こうしてゴールキーパーの選択反応による応答時間(光刺激からタッチ板 にタッチするまでの時間)を測定した。

結果は被験者にもよるが、おおよそ0.5秒だった。 つまり、ボールがゴールに届く前、少なくとも0.5秒前にシュートコースを判断しないと、 シュートを阻止できない事が分かった。

<研究2>

ボールがゴールに届く前、少なくとも0.5秒前のシューターの動作はどのような状態 かを撮影・分析し、明らかにする。

方法:シュート動作を側方から高速度カメラ(100コマ/秒以上)で撮影し、動作時間を調べ た。その結果、フォワードスイングの途中までに判断しないと、GKはシュートを阻止できない事が分かった。つまり、GKはボールの飛行コースを見てシュートを阻止するのではなく、シューターのシュートフォームを見て動作している。

<研究3>

シュートコースによりシュートフォームに違いがあるのかを明らかにする。 (フォワードスイング開始時期に着目して)

方法:シュート場面を2台のVTRカメラで撮影し、3次元解析データ処理する。

分析の観点は、肩の捻り・DFの壁に位置・ボールの軌跡などに着目した。結果的にはフォワードスイング時にボールの軌跡が変わるようなスロー方法が有効であることが分かった。

具体的にはDFが壁を作っていると思われるブラインド側に、ブラインド側で無い方向にシュートする特徴の身体の捻りと軌跡を見せ(うその情報)てシュートすると成功すること 分かった。

http://www.sms.u-tokai.ac.jp/publication/magazine/doc/ttj_of_sms_19.pdf

上記 P23〜P31 を参照してください。


<研究4>

研究1・2・3で得た知見は、シュート指導に有効かを検証し、指導手順の正当性をも検証する。

方法:クイックシュートの為のステップ方法と、DFのブラインド側にボールの軌跡を変化させてシュートする方法を指導し、その後のシュート成功率から指導方法の有効性とシュート理論の有効性を検証した。以上の結果から上記シュート理論は即効性のある考えであることが分かった。詳細は以下の文献を参考にして下さい。
東海大学スポ-ツ医科学雑誌 (23), 79-88, 2011-00-00

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