現代スポーツコーチ実践講座7
ボールゲームは,広い範囲での出来事をとらえなければならない。味方, ボール,マークする相手などの動きは広い範囲にわたっている。スピードあ る動きをすれば,視野も狭くなりがちであるが,どんなときにでも広い視野 を保つことが重要である。
広い視野があっても,全体をボーッと見ていてはいけない。ノーマークだとか,アシストすべきチャンスだとか,フェイントしてくる徴候などを見落とさない眼が必要である。
きめ手となる動作は非常に短時間の中で行われるものである。例えば,G・Kがシュートをとる場合,シューターが,バックスイングし,フォワードスイ ングを行ってボールが手から離れるまで,0.5秒とかからない。またボールが 手から離れてゴールに飛び込んでくるのもほんの一瞬である。普通の眼には, 速すぎてシューターの動作もボールも,分析することができないものである。
しかし,G・Kにとって,この一瞬の出来事を,ゆっくりと見られる眼を持 たなければ,シュートの方向やタイミングに合わせて自分の動作を行うこと はできない。よく訓練されたプレーヤーは,速い動きの中でも,顔,手,足 の動きなどよく見えているものである。
これは,ゲームにおいて,シュートすべきか,パスすべきか,1対1を破 るべきかなど,プレーの目的を決定する能力のことである(個人戦術)。
例えば「シュートすべき」と決まれば,どんなシュート動作で行うか,そ のタイミングや方向,強さはどうするかなどの決定がなされる。