1チームとしての健康管理のシステム作り 

ハンドボールに限らずスポーツの指導者は,競技力を向上させ,選手の持つ能力を最大限に引き出し,目標を達成させなければならない。そのために選手は,人並み以上の激しいトレーニングに耐えていかなければならず,そのようなトレーニングを継続して行うためには,心身が健康でなくては成果は期待できない。

しかし一方では,これらのトレーニングにより健康障害を引き起こす危険性もはらんでいる。そうなれば,築き上げてきた成果は足元からすべて崩れてしまうことになる。ハンドボール選手の健康とは,障害に陥ることなく,心身の状態を激しいトレーニングや厳しい競技に耐え得る良好な状態に維持し,期待でき得る効果が順調に発揮されている状態といえる。ハンドボールにおける健康管理とは,このような状態を支えることである。

この健康管理を効果的に機能させるために,セルフケアを土台とした恒常的システムと,事故発生時の対応のシステムフローチャートを作っておくことが大切であろう。

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1)セルフケア 

チームの中に健康管理体制を作ろうとする場合,選手自身が自分の身体の状態を把握し,適切な判断力を持てること,つまり「セルフケア」が大切となる。「セルフケア」ができる状態を作ること,選手の自覚を促すこと,そしてそういう選手の個人の判断を尊重できるような体制,伝達システムをチームの中に作っておくことが指導者の重要な役割である。 

さらに,体調が悪いときその症状によっては,チームドクターやかかりつけの医師に診てもらうように,ふだんから指示を出しておくことも重要である。

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