2)健康管理担当者の選定 

チームの中で健康管理担当者を決めておく。コーチ,トレーナー,マネージャーなど誰でもよいが,できればチームの最高責任者(部長など)がよい。指導者の希望と健康管理上の決定とはしばしば対立するからである。健康管理担当者は,チームが活動する周囲の医療の状況を確実に把握しておく必要がある。具体的には,健康全般を管理してもらえる内科系の病院はもとより,救急病院,整形外科,脳外科,眼科などの病院の住所,電話番号,診察時間,休診日などの一覧表を作る。もちろん,その地区の休日診療体制も把握しておかなければならない。また,救急車が出動した場合は,どこの病院に運ばれることが多いかなども知っておくとよい。 

健康管理担当者が中心となり,健康診断(メディカルチェック)をはじめとする健康管理や,障害予防,リハビリテーションなどの活動計画を立てて実行する。

3)コンディショニングノートの作成 

選手の健康管理の重要性を考える場合にはセルフケアが大切であるが,それには意識を育てることが土台として重要となる。そのためにコンディショニングノートを選手1人1人につけさせる。選手自身の主観的な体調を簡単な項目でチェックさせ,自分のコンディションを自分で把握することを習慣化させる。 

また,このノートを指導者と選手の連絡ノートとして使えば,選手の体調をコーチが把握するのに役立つ。

4)関係者の協力体制 

健康管理を効果的に実施するためには,医師,体力科学の専門家,栄養学の専門家(栄養士),コーチ,トレーナー,学校体育教師,心理学の専門家など,また,中学生や高校生にあっては父兄,地域では社会体育関係者などの協力体制が不可欠である。 

チームドクターは非常に重要であり,医師であれば専門を問わないという時代ではない。スポーツ医学に関する専門的知識と経験を持つ臨床医が望ましい。

しかも医師自身がハンドボールを経験していれば理想的である。 

しかし,普通は医師の専門を判断することは難しいことが多いので,できる限り呼吸・循環器系の臨床医を探すのがよい。また,チ一によっては特定の医師を探すことができない場合のほうが多いと思われるが,実業団においては会社の産業医に,学校においては校医に連絡をとっておくことがよい。

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