実戦ハンドボールQ&A
キックが弱い原因として次のことが考えられます。一つは強力なキックを生み出すパワーがないということ、もう一つは強力なキックを生みだす動作ができていないということです。
フェイントでキックが弱いということは、方向変換して相手を抜くスピードがでないことです。前に述べた二つの原因は別々にあるわけではなく、表裏一体のものであるといえます。というのは瞬間的に止まり、方向を変えて抜いていくということは、止まりと方向変換が別々になされるものではなく、止まる動作がそのまま方向を変えて跳び出していく動作につながるからです。
そのためには膝を突張るように伸ばしながら、その突張りの後半には、抜こうとする方向への力が生まれていなければならないのです(写真①~⑥)。
膝ののびと足首の蹴り出しを作り出すためには、腰が落ちていなければなりません。腰高では膝の屈伸を十分に利用することができず、重心が高くなるので急激なストップはできません。
方向変換は、急激でしかもするどいほど効果は大きくなります。ゆっくりとしたスピードでの方向変換は反応時間の利を生み出すことができません。しかしながらスピードが大きければ大きいほどへ方向変換の時に脚のパワーが必要になってきます。どれくらいのスピードまで方向変換できるかどうかは、脚のパワーの大きさに比例するといってもよいでしょう。
また、スピードがあるほど、急激な方向変換には腰がより落ちていなければなりません。落ちれば落ちるほど脚の負担は大きくなり、脚のパワーが必要となってくるのです。脚にパワーのない人は、腰を落として急激な方向変換をすることができないので、相手を抜くというような対応場面では大変不利になってきます。
おそらくこの質問者の場合、腰が落ちていないか、それとも脚のパワーに欠けていると思われます。筋のパワーをつける練習として、次のようなものをやってみてはいかがでしょうか。
脚のパワーをつけるためには、脚のトレーニングだけでは強くなりません。全身的なトレーニングをしながら、脚のトレーニングをすることが必要です。ここでは、フェイントに必要な脚力(キックカ)を中心としたトレーニング法を述べてみます(次ページの写真参照)。
(大西)