アドバンテージルールとは何か、またどんな場面で適用されますか?

アドバンテージルールとは、反則をされている側が反則の笛を吹いてプレーを中断されるよりは、反則されたままプレーを続けた方が有利である場合に適用されるルールのことをいっています。その例をあげてみます。

①攻撃側のプレーヤーが味方にパスしようとした時に防御側に反則をされたが、その時点で笛を吹くと攻撃側 に有利な攻撃展開ができない場合、審判は笛を吹かず にプレーを続行させる。もしその状態でパスされたボールが防御側にカットされても、審判は前にもどって防御の反則の笛を吹くことはできない。

アドバンテージルールは、反則されている状態の一連動作だけをみるのであって、その次の動作までみないからです。パスした状態は次の動作であるので、カットされてもそのまま続行ということになります。

②シューターがラインクロスをしてシュートしたが、ゴールキーパーがシュートを阻止した。ラインクロスをとるよりそのまま競技を続行したほうが攻撃側に有利な時は、ラインクロスの反則をとらないで (アドバンテージ)そのまま競技を続行させる。

③フリースローの時、防御側の不正な配置(三メートル以内に近づいている)にもかかわらず、パスした方が有利にプレーが展開できる時は、防御側のラインクロスの反則をとらない。

④攻撃が有利に展開されている時に、防御側はゴールエリアラインを踏みラインクロスしても、ラインクロスの反則をとらずにプレーを続行させる。しかしシュートの時は別である(後述)。

以上各種の場合が考えられますが、アドバンテージは一動作だけをみるのであって次の動作まではみないので、審判は反則されている状態が不利であるか有利であるかを瞬間的に見極める能力をもたない限り、アドバンテージルールを避けた方がよいでしょう。

シュート体勢にアドバンテージルールを適用する場合には、次の一動作すなわちシュートが入ったか入らなかったかを見てから判定をし、もし入らなければ前にもどって防御に反則を科します。シュートだけは別なのです。例をあげてみますと、

①シュートしようとしたが防御者に反則をされた。審判はプレーヤーに危険のない限り、反則の時点で7mスローを科さないでシュートの成否を確めてから笛を吹く。入ればゴールインであり、入らなければ前にもどって7mスローを与える。

 ②攻撃側がフェイントして防御を抜きシュートした。フェイントする時に防御が反則をしていたが、アドバンテージを適用してシュートさせた。シュートをする時には防御は反則をしておらず自由にシュートした。

この場合は不成功に終わってもそのままプレーを続行させます。これはシュート体勢の反則でなく、反則された状態で抜いた時点までがアドバンテージの適用であり、その後にシュートが入らなくても前にもどらなくてよいからです。

(大西)

ルール審判目次へ  ホームページへ