合宿練習の必要性とその持ち方は?

合宿にもいろいろな形式があります。目標をはっきり設定して望むなら、集中して行いうる利点を持っているだけに効果は期待できるものであり、必要性は大いにあり得るといえます。合宿の目標はおもに、日々の練習で不足している技術や、特に習得を必要とする技術を集中的にやるなど、技術を中心としたものに目標を置いてやるのが普通です。

しかし合宿というものは、寝食を共にし、日頃の練習とはかなり多い練習量のために肉体的・精神的に与える影響は大きいといえます。それらのことを考え、よく計画された合宿を行うなら次のことが期待できます。

(1)技術上の向上

ともすれば、合宿中は疲労のために頑張りに比例して結果がよいというわけにはいきませんが、疲労に打ち勝とうとする中で技術の習得に磨きをかけたのなら、合宿後数日の休養の後に、以前の技術とは数段上回っている自分を知るはずである。

(2)精神力の向上

合宿の練習が、肉体や精神に負担をかけないはずはありません。いくら体力のある人間でも、数日、午前午後の練習を繰り返せば、練習の場から逃げ出したくなるのは当然です。人は困難を克服して強くなっていくものであり、合宿はまさに精神的には困難な場の提供といってよく、ひとつの自己の成長のための試金石です。逃げ出したくなる自分にムチを打ち、乗り越えて初めて価値のあるものになります。合宿を終えた後の心よさは、自己の未知の力を知った心よさであり、困難を克服した快よさです。この経験は、自己の自信となって現われ、その後に好影響を与えるものです。

(3)チームの団結力を強める

合宿生活では、寝食を共にし、激しい練習を行うことによって自己の長所、欠点をすべて皆の前にさらけ出すことになります。これが裸のつき合いの第一歩ともなり団結力を強める結果となります。励まし合いの中でしか乗り切ることのできない合宿訓練ほど、団結力を強めるものはないでしょう。以上のような効果を期待することができますが、それも計画しだいです。合宿の計画で考慮すべきことをあげてみますと、

次の表l、2は日課表と、戦術に重点を置いた場合の練習内容の計画表の例です。合宿に入る前にチーム全員に知らせ、心の準備を整えてから行うようにします。合宿に際して注意すべきことは、

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①時間の厳守。

団体生活の規律の第一歩は時間の厳守から始まります。

②挨拶などの礼儀作法一般。

日本人が忘れかけている礼儀作法を身につけるにはよい機会です。挨拶から、清掃、スリッパなどのはき物の並べ方まで身につけるよう心がけます。

③食物の好き嫌いの一掃。

食べ物の好き嫌いは食べず嫌いからきているものが多いようです。この機会に食べられるようにすること。食べ残しなどは、体力の要する合宿では、合宿の放棄に等しく、物を粗末にしている点からもなくしたいものです。

④健康管理に気をつける。

合宿は、疲労だけでなく、さまざまな角度から選手を苦しめます。睡眠不足、暑さ寒さ、食欲の減退などは合宿につきものです。これらから選手を守り合宿を乗り越えるためには健康管理に十分気を配らなければなりません。水の飲みすぎなどを防止する一方、顔色や脈拍、体重などに気を配り、思わぬ事故を引き起こす前に処置しなければなりません。

⑥ミーティングは必ず行うこと。

練習の反省や技術に関することばかりでなく、部員すべてに何かのテーマで話させることなどは、部員の思わぬ一面を知ることにもなり有意義です。

⑦親睦を図るような機会をつくる。

厳しい要求ばかりでなく、最後の夜には、親睦を図るような演芸会などをやるのは、より合宿を効果的ならしめるものだと思われます。

(大西)

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