実戦ハンドボールQ&A
うまいゴールキーパーにあうとあいていて絶対に入ると思って打ったシュートが取られてしまいます。これはゴールキーパーにさそわれてシュートしてしまったことを示しています。ゴールキーパーのシュートを取る技術としては、
の三つの技術が柱です。その三つの技術のうちさそって取る技術はむずかしいものであり、シューターの動きや心理状態、またキーパー自身の動きやフォームが相手にどのような影響を与えるかを知っていなければ成功しません。
次の写真Ⅰの①~⑩は、サイドシュートをさそってとった例です。この写真をもとに、さそいに必要なポイントを述べてみたいと思います。
シューターは、どこをどのようなフォームで打つか最終的に決心(判断)する時機があります。それは、初めから決めているような場合もありますが、シュートを打つ直前までディフェンスやゴールキーパーの動きを見てから判断して投げる場合もあります。
いずれにしても、バックスイングが終わって投げる方向への全力スイング(フォワードスイング)が始まれば、ゴールキーパーがどう動こうと投げている方向を変えることはできません。写真では⑥がその時機に当たります。というのは、ある刺激(相手の動作)をみて方向を判断して動作を始めるまでに最低〇・二秒くらいかかります(反応時間)。
フォワードスイングが始まってから終わるまでに〇・二秒はかかるので、フォワードスイングが始まってからでは、方向が違っていたと判断をしなおし修正しようと思っても、もうボールは手から離れてとんでしまっているのです。
そこで、シューターは、フォワードスイングを始める〇・二秒まえまでの相手の動きをみて(バックスイングとフォワードスイングの間に一呼吸いれないで、バックスイングから全力投球する場合には、バックスイングをする〇・二秒前)最終判断するわけですから(ここでは①~④の時機)その時機に合わせてさそってやればよいわけです。
写真では、シューターが最終判断する④の時機に合わせてゴールポスト側が空いているように動作してさそっています。ところがその時期を読み誤まるとみじめな失敗となります。
さそいは、動こうとする方向と逆の方向に空間を作ることになるので、そのさそう時機が一番問題となります。早すぎるとさそったことを見破られて逆を打たれるし、最終的に判断してしまった後にさそっては全然影響を与えないからです。
最終的に判断する時機に合わせてあいているゾーンをつくるか、打たそうとする逆の方向へ動いてやればよいわけです。大切なことは、あけてやった空間に動きやすい動作をしてさそうことが必要です。
よく見受けられることですが、右に動いて左の方向を打たせるようにさそって入れられているような場合があります。これはさそう動作が"動き"であり、しかも大きすぎたりスピードがつきすぎたりで、タイミングが遅れてしまうからです。
動きでさそうのも、さそいの一つの技術ですが、失敗する確率が大きいので注意を要します。
さそい方の例をあげますと、
相手が打とうとする前に、一方側にいく分かたよって構える(図1)。打ったと同時にその方向へ動くには、どこまでならあけても間に合うかを日頃からよく研究して立つ位置を誤まらないことです。
ポストシュートなど近いシュートの時は、待ってさそっても間に合わないので、つめながらどちらかのゾーンをつぶし、シュートを打ったと同時にあけているゾーンへと動きます。写真Ⅰはその例です。
速攻のノーマークなど体で壁をつくって止める時、壁をつくった時に、故意に股下やわき腹を大きくあけてあいていると見せかけて、打ったと同時にそこを脚や腕でとじる。次の写真Ⅱは、わき腹を大きく開けてさそい、打ったと同時にわきをとじてとった例です。
(大西)