視野が狭く、特にノーマークシュートの場面ができているのに気付かない人は、何を注意すべきか?

視野が狭いといわれる人は、視線が一点に集中してしまって、全体の動きの変化の見えない人をいっています。初歩的な段階ではありがちなことで、自分のプレーに懸命で他の人の動きに注意を払う余裕がなくなっています。また自分がプレーすることによって味方や相手の動きを予想することができないので、チャンスを見失いがちです。

熟練してくると全体の動きを見ながらプレーできるように なるので、チャンスを見のがすことは少なくなります。全 体を見ながらプレーするというのは、視線を一点に集めず、 視野の中におさまるすべての動きに注意を払い、何か注目 すべき変化を見つけ出し、その変化に対して最善のプレー を選択して実施できることをいっています。

ノーマークシュートができているのが見えないというのは、自分がノーマークになっていたり他のプレーヤーがノーマークになっているのに気付かないということで、ノーマークという注目すべき変化をとらえることができないことを示しています。球技の技術は一瞬一瞬変化するなかで行うことに特徴があり、一瞬を見失うと、もう次の場面へと変化しています。したがってノーマークになってからそれに対処するプレーをしていたのでは、ディフェンスに感ずかれてノーマークを生かせなくなります。 

そこでノーマークと同時にノーマークに対するプレーをしなければなりません。(写真Ⅰ)

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ノーマークと同時にプレーするということは、ノーマークになる前の動きからノーマークを予測してプレーするということで、ここに球技の難しさとおもしろさがあるのです。

予測してプレーをしないとプレーは遅れてうまくいかないのです。ノーマークを予測してプレーするためには、ノーマークになる動きを理論的によく知っていて実際の場で練習することが必要です。偶然的にノーマークを見つけても、なぜノーマークになったのかということを理解していないと身につきません。理論と実際とを一致させ、意図的に計算されたプレーをすれば、すべての動きに注意を払うようになり、また注目すべき変化をとらえようとするので、自然と視野が広くなってきます。何も考えずに偶然性にたよってプレーしていては、視野が広くならないばかりかプレーも上達しません。

視野が広くなり予想力がついてくると、他の人からみれば、偶然とも思えるようなプレーにまで発展するものです。まったく何も見ていないのに正確にタイミングよくノーマークのプレーヤーにパスできたり、あのプレーヤーには頭の後ろにまで目がついているといったプレーができるのは、視野が広く予想力がつき、ディフェンスを思うがままにあやつれるからです。このようになるためには、理論と実践を積み重ねていく以外に手はないのです。

下の連続写真Ⅱは、サイドにノーマークのプレーヤーがいるのにシュートを打ちカットされて失敗した例ですが、結果的には、サイドのディフェンスがサイドを“ノーマーク“にしてシューターを防御しているので、”ノーマーク“を見落とすことなくパスをするか、もっと早いタイミングのシュートをした方がよかったと思います。そうするためには、写真⑥や⑦のぎりぎり段階でパスするかシュートするかを考えているようではできません。①〜⑤のカットインする段階で味方やディフェンスの動きや位置の変化を予想し、確かめつつ(注目すべき変化を見つつ)いかなるプレーで対拠するかを判断しなければ、切れ味のよい適切なプレーはできないのです。

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(大西)

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