浮かしシュートがうまくいかない。最初から決めて打つのでしょうか?

うまいシューターというのは、その瞬間瞬間のゴールキーパーの体勢を見て浮かしか強打かの判断をしています。中にはゴールキーパーのプレーに熟知していて決めて打つ場合もあるでしょうが、それは一般的な方法とはいえません。うまくないシューターほど最初から決めて打ちたがるものですが、その結果ゴールキーパーに読みとられてブロックされてしまったり、前に出る体勢から下がられてカモにされるという例が多く見受けられます。この浮かしシュートが大切な技術としてとらえられるようになったのはゴールキーパーの守備法が進歩した結果であり、七人制が始まった頃にはそう見受けられませんでした。

またシュート法も進歩し、ゴールキーパーが後ろで待っていたのではとることが難しくなってきました。特にサイドシュートや、ポストシュート、速攻のノーマークシュート(写真下)などは待ってシュートのコースを判断してとるということは、不可能に近いことです。そこでそれらのシュートに対しては、シューターの目前までつめて体を壁にしてゴールに対するシュート角度をなくしてしまうのです。

うまいゴールキーパーは、この方法によってほとんどのシュートボールをブロックしてしまうかゴールの外に出させてしまいます。前につめ、体を壁にする技術に対するシュート技術の一つとして、この浮かしシュートは生まれてきたものなのです。

質問に対する結論的なものとして、最初から決めて打つよりその瞬間瞬間の判断によって強打と浮かしを使い分けられるように目指す方が後によい結果を生むことになるでしょう。そこで、浮かしシュートができるためのポイントをあげてみますと 

(1)浮かしシュートと強打のシュートフォームは変わらない(連続写真)

浮かしシュートする時、それがわかってしまうシューターが多く見られます。たとえば、バックスイングするところで助走が弱くなり身体が立ってすでに浮かしシュートするような状態になってしまうのです。これではキーパーに「浮かすぞ」といっているようなものです。助走のスピードがあり、強打されるととてもとれないとキーパーが思う時はじめて前につめるのですから、バックスイングするところまでは強打する時と同じような体勢でいかなければ浮かしシュートは生きてきません。

 (2)ジャンプ力があること

人は誰れでも判断してから動作を開始するのに時間がかかります。ジャンプカがなければ、空中で浮かすか強打かの判断をする時間をかせぐことが難しく、判断して投げる時には足が床についているといったことになりかねません。このジャンプカがない人は最初から決めて打つしかないのでゴールキーパーに見破られ、その成功率は落ちます。 

(3)ゴールキーパーがつめている時機に浮かせること

前につめてくるゴールキーパーに対して浮かすのはいいのですが、浮かす時機が問題です。少なくとも、つめ終わるまでに浮かすべきです。時に大きなキーパーに目前までつめられるとゴールは見えなくなるし、浮かす角度が難しく失敗する例が多くなります。そういう時は、浮かさずに腕を横にまわしてのサイドスローに切り換えてシュートしたり、体を横倒しにしてシュートした方がよいでしょう。浮かすためには、つめ始めた瞬間くらいに浮かすのが最もよく、この時機にゴールキーパーは、浮いてゴールに向かうボールにとどくジャンプはとてもできないし、後方にもどることも不可能だからです。

(大西)

シュート目次へ 次ページへ