Ⅲ高学年授業実践事例(台形ゴールハンドボール)

米村 耕平(香川大学准教授)

佐藤 勝弘(新潟大学名誉教授)

○児童の実態

一般に高学年段階では、中学年でボール運動を行っており、スペースの考え方や見つけ方などを感覚的に理解していると考えることができる。また、ある程度のボール操作技能(パス、キャッチ)も保証されていることから、プレーの成功率も期待できる。くわえて、ゲームを論理的に分析する思考力の向上も見込まれることから、戦術を中心とした効果的な認識学習の展開が想定できる。

以上から、中学年で学習した内容をより発展させた形での戦術学習を中心としたハンドボールの授業展開が可能となる。

○単元の目標

○単元計画

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※子どもたちの必要感に応じて、単元後半では前半のゲームをチーム練習や作戦会議へ変更することも可能

ドリルゲーム①

ねらい:単元前半のゲームで重要となる技能のリードパスと走りながらのキャッチ技能の習得=時間内に多くのボールをかごに入れるためには効率のよいリードパス・キャッチが必要となる。

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ゲーム①セイフティーゾーン有りグリッド速攻ゲーム

ねらい:数的優位を生かしながら(2対1による攻めの繰り返し)効率のよいボール運びを行う

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ゲーム②守備ゾーングリッド有り速攻ゲーム

ねらい:数的優位を生かしながら(2対1による攻めの繰り返し)、ゲーム ①よりもスピーディーで正確なボール運びを行う。

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※ルールはゲーム①と同じだが、攻撃セーフティゾーンが無くなった分守備ゾーンが広がるためゲームが難しくなる

ドリルゲーム②

ねらい:ドリルゲーム①より長い距離を複数のパスをつないで移動するランパスの技能習得=時間内に多くのボールをかごに入れるためには、よりスピーディーで正確な2人のパスによるボール運びが必要となる

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ゲーム③攻守交代型速攻ゲーム

ねらい:数的優位を生かし、縦横のコートバランス(DF人数の偏り=空いているスペース)を活用し、ゲーム②よりもスピーディーで正確なボール運びを行う。

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ゲーム④4対4ハンドボールミニゲーム

ねらい:本ゲームから攻守の切り替えが導入される。この切り替え時にこれまでの学習を生かしながら、ボールを持たないものは空いているスペースへ走り込み、ボール保持者はそこに正確にパスをする速攻を行い、防がれたらキーパー参加による数的優位の状況を利用して遅攻を展開する。

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○本時の授業案(第4時)

1、2時間目までに行ってきた「ゲーム①セーフティゾーン有りグリッド速攻ゲーム」で、数的優位を生かしながら効率のよいボール運びを行えるようになり、得点も多く取れるようになった。

そこで前時から一つレベルの上がった「ゲーム②守備ゾーングリッド有り速攻ゲーム」で数的優位を生かしながらゲーム①よりもスピーディーで正確なボール運びを行うことをねらって学習してきた。ゲーム①に比べ得点が減少したが、本時では縦パスによる速いパス回しによる守備ゾーン①の突破とサイドチェンジパスでノーマークをつくり守備ゾーン②での得点を増やすことをねらいとする。

(1)ねらい

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○具体的な授業展開のポイント

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