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⑦ オーバーステップ

 オーバーステップを正確に判定するために最初にしなければならないことは,基準足を確認することである。特に,空中でボールをキャッチした場合や,ドリブルをしたあとキャッチした場合は,基準足の判断が難しいので十分に注意しなければならない。

 次に,歩数を確認することである。初めの段階では歩数を数えることが必要であるが,経験を積むことによって頭の中にリズムができあがるので,いちいち数えなくとも何歩使用したのか判断できるようになる。

 しかし,経験を積んだレフェリーにとっても,オーバーステップの判定を完壁に行うことは非常に難しいことである。したがって,試合を運営するにあたって最も大切なことは,オーバーステップの判定の基準が,試合中いつでも一定していることである。

⑧ タイムアウト

 本来ハンドボールは,競技時間が途中で止まることは原則としてない。しかし,退場中の場合や試合の終了間際で得点が僅差の場合には,遅延行為が行われる可能性があるので,タイムアウトが必要な場合もある。

 退場中の場合,人数の少ないチームが各種のスローの際に遅延行為を行う可能性があるので,必要に応じてタイムアウトをとるべきである。

 試合終了間際の場合,各種のスローの際にタイムアウトをとるべきかどうかの判断は,次のようなものである。

ⓐ同点の場合は,原則としてタイムアウトはとるべきではない。タイムアウトをとることで,ボールを保持しているチームが有利となるからで ある。

ⓑ負けているチームのスローの場合には,原則としてタイムアウトはとるべきではない。

 チーム自身が急ぐべきであり,遅延行為の可能性がないからである。

ⓒ勝っているチームのスローの場合には,タイムアウトが必要なこともある。

 時間の浪費が一方的に有利に働くため,遅延行為が行われる可能性が高いからである。本来このような行為は,「スポーツマンシップに反する行為」として罰せられなければならないが,その判新が難しいので,タイムアウトをとることで,遅延行為を未然に防ぐことのほうが望ましい。

⑨ 段階的罰則の適用

 段階的罰則の適用の第1歩は,反則がボールを対象としたものか,相手の身体を対象としたものかを判断することである。

 反則がボールを対象としたものであるとレフェリーが判断した場合は,単にフリースロー,ペナルティースローが判定されるだけである。

 反則が相手の身体を対象としたものであるとレフェリーが判断した場合は,初めの段階では警告を,それが繰り返されたときには退場を判定すべきである。

 反則が身体を対象にしていると確信が持てない場合は,単にフリースロー,ペナルティースローを判定するだけではなく,注意を与えて同じプレーが繰り返されたときに警告・退場を判定すればよい。

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