トレーニングの効果が出るのも休養からなので,生活の中で休養の位置づけは大切である。そして,バイオリズムを崩すような不規則な生活は避けなければならないだろう。特に,競技レベルが高くなるほど,安定したコンディショニングが要求されるので,よい生活習慣を身につけるべきである。 

この点については,次のようなこ

とに気をつける必要がある。

4)栄養管理 

スポーツ選手の運動する身体を作り,支えるのは食事からの栄養である。したがって,栄養面の配慮がその成績を左右するのは当然である。それには食事についての基礎をしっかり理解したうえで,基本的な食事を取ることが大切である。

≪エネルギー消費量≫ 

エネルギー消費量は,体格,年齢,運動量,体質などで個人ごとに異なるし,また,同じ人でも日によって異なる。エネルギーが不足すれば動きが鈍り,寒がりになり,だるさを感じ,疲れやすくなり,体力の消耗を招いてやせてくる。過剰が続けば脂肪として貯蔵され肥満になる。必要なエネルギーを取っているかどうかは,体重の増減で判断するのが簡単な方法である。水分摂取などである程度の変動があるので一定期間の経過を見る必要があるが,体重の増加傾向があれば摂取過剰,減少傾向があれば摂取不足,増減がなければ均衡が保たれているという1つの目安になる。 

このエネルギーを供給するのは,糖質(炭水化物),脂質(脂肪),タンパク質である。エネルギーは,糖質と脂質で90〜95%,残りがタンパク質によって供給される。糖質と脂質の割合は,運動の激しさが中程度なら半々に,激しくなれば糖質の需要が増えてくる。

≪タンパク質≫ 

タンパク質は,エネルギー源としての役割も持っているが,最も大切な役割は,様々な生命現象の中心的役割を持っているということである。例をあげれば運動を起こす筋肉,消化を始めとする体内の物質代謝の酵素,種々のホルモン,感染症に働く抗体などはほとんどすべてがタンパク質からできている。激しいトレーニングを続けると,エネルギー源として,また,筋肉を大きくするためにタンパク質が多く必要となる。それゆえにタンパク質の不足は,トレーニングの効果をあげられないばかりでなく,成長期の選手にとってはマイナスとなる。小学校上級生で大人並み,中〜高校生では大人の2倍は必要とされる。さらに,6カ月以内で筋肉はすべて新しい細胞と取り替えられているため,毎日タンパク質を食べて補充し続けなければならない。

≪ミネラル・ビタミン≫ 

トレーニングでは,エネルギーだけでなくミネラル・ビタミンの必要量も高める。ミネラルは,骨や歯の主成分(カルシウム)となる細胞の生命を維持する作用をする。そして様々な代謝の調節を行い,タンパク質や酵素などの構成要素となるなどの働きを持っている。 この中で重要なものは,カルシウム,鉄分,亜鉛である。運動をすればカルシウムの必要量は増加するので,低カルシウム食を続けることは問題がある。 鉄は,ヘモグロビンの構成要素であるため,

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