1) ゴールから6m以上の距離からの強いシュー
トが打てるオーバースローと,ディフェンスを破るシュートの技術。
2) 至近距離から最遠40mまでのスローの技術。
3) ランニングの状態での小さなボールに対するパスやキャッチの技術。
4) 3歩内のステップでの停止や相手をかわすステップの技術。
5) シュートを防ぐゴールキーピングの技術。
6) シュートやパスを阻止したり,ボールをとる技術。
以上の個人技術と攻防は,ともに2,3人のコ
ンビネーションやフォーメーションを形成するこ
と,さらには,6人の攻防の戦術形成が要求され
る。
ルールブックの「ハンドボールの概念」に示さ
れるように,ハンドボールの大きな特徴は攻撃であり,そのためのシュート技術,また,ステップ
やハンドリングの技術が中核となるといえる。
ハンドボールは多様な運動形態から構成される
が,特にシュートのための上肢のパワーが必要で
あり,また,豊かなステップワークを生み出すた
めに下肢の瞬発力が重要となる。このように主として全身の筋力が使用されるが,ジャンプや倒れ込みシュートなどの空間のバランス感覚も要求され,全身の協応性も関与してくる。さらに60分の
ゲームを維持するだけの持久力も必要であり,ゲ
ーム中の運動強度を心拍数からみると毎分
175〜180拍となり,サッカーやバスケットと同程度であることが分かるが,時には190〜200拍の最
高の強度を示すこともあり,練習時での持久力の養成も課題の1つである。
このようにハンドボールを生理学的特性からみると,オールラウンドな体力が要求されており,
そのためには筋力トレーニングやサーキットトレ
ーニングが適しているといえる。
形態的には,ボールを握ってシュートやパスをするために手掌が大きく,また,身長においても大型化が望まれている。
ハンドボールは,児童の心身の発達にとってふ
さわしいボールゲームといえ,次のような教育上のメリットをもっている
。
1) 全身の運動を保障するものであり,特に上肢のスローは他の運動には見られないものであり,とりわけ女子のスローの形成に有効である。
2) ゲーム様相が攻防混在型の特徴を有しており,空間やタイミングの認識の形成を可能にする。また,コンビネーションプレーの形成が容
易であり,意図的なプレーや戦術を工夫しあえる良さをもっている。
3) 他のボールゲームに比べボール操作が簡単であり,そのためシュートチャンスも多く,運動の成功感を実感することができる。
4) 条件によっては強い運動も可能で,運動量の保障が可能であり,特に冬季のスポーツとして有効である。
また,次にあげるような点で実施が容易であり,
学校体育や社会体育に導入しやすいことも長所と
いえよう。
1) コートが比較的小さく体育館でもグラウンドでも実施でき,ボールとゴールがあればすぐにできる。
2) ルールも簡易化しやすく,工夫すれば人数も幅広く対応できる。さらに年齢・男女を問わず