IHFシンポジウム1995

カイロ/エジプト

18.06.95-22.06.95

改訳・ハンドボールの専門用語

— コーチング・方法委員会CCM‐TMK‐CEMの提案 —

著者 アラン・ルント(A. Lund、前IHFコーチング・方法委員会メンバー)  

訳者 佐藤 靖(秋田大学)

訳者まえがき

1995年6月、エジプトのカイロで開催されたIHF(国際ハンドボール連盟)コーチ・チーフレフェリーシンポジウムにおける配付資料が、前(財)日本ハンドボール協会普及・指導委員会によって翻訳・編集され、1996年2月に報告書「World Handball 1995」として発行された。その中で筆者は、IHFが推奨する「ハンドボールの専門用語」(Handball Terminology)の翻訳と訳注を担当したが、この度、2020年の東京オリンピック開催の決定を契機に、さらなるハンドボールの国際化を願って原稿を再び推敲した。従って、本改訳は、著者 アラン・ルント(A. Lund)、訳者 佐藤 靖と明示した上で、「改訳・ハンドボールの専門用語」と題して公表するものである。

まず、改訳にあたって訳者のとった幾つかの訳出上の措置についておことわりしておきたい。

(1)訳文中の諸記号は原文との比較において以下の通りである。

(  )は原文中にあるものと同じ。

[  ]内の字句は別の訳語。

/ は原文中にあるものと同じ。

: は原文中にあるものと同じ。

(2)本文のドイツ語部分を訳出し、各語の下に訳語を入れた。

(3)外来語として慣用されているものはカタカナ表記にした。しかし日本語になりにくいものはすべて原音に近い表記にした。

(4)訳注は、文中に一連番号を付し、A章およびB章を一括して文末にまとめた。そこで取り上げた内容は、訳者の訳出上の根拠、およびドイツの球技理論において基本となる概念等である。

(5)他の国の言語表現、および意味内容を十分参考にした。

(6)記号説明の箇所は、本文と同じ書式で訳出した。

(7)翻訳に際して引用、もしくは参考にした文献は文末にまとめた。

一般に、名辞(Term)は、概念を言語で表わしたものである。その場合、言語表現は民族や人種などの違うそれぞれの国によって大きく異なる。しかも、コーチングの世界において運動の言語表現を問題にする場合は、その議論が共通の基盤となる運動認識に基づいていることが重要となる。そこでは運動形態学が役に立ち、共通の基盤を提供してくれる。すなわち、いずれの国の言語で表記する時にも運動形態学を拠り所とし、練習対象となる運動の概念を明確に規定して、練習のめあてや運動の仕方に混乱が生じないようにしておく必要がある。本来、このような意味での運動表記こそ練習対象となる運動の体系化の基礎となる。すなわち、実際の行為や運動の諸現象を、国を越えて共同的に観察し、運動の構造(成り立ち)を明らかにしながら,それぞれの概念を統一しておくことが将来必ず必要となる。

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