ハンドボールコーチングに関する科学的アプローチ例

スポーツの指導に関わるようになって半世紀以上が経過しましたが、その間に経験した指導や研究の成果が、スポーツの発展に少しでも貢献できればと考えています.大学では日本における体育方法学会(現スポーツコーチング学会)の創設者 笠井恵雄先生の指導を受けることができ、コーチングに関わる研究に努力してきました.

近年、スポーツコーチング研究の質も向上してきましたが、指導のための基礎的な資料を得る研究が多く、スポーツコーチング独自の研究は数多くありません.

私は現場で指導実践した指導者の成果が報告され、その資料・データが蓄積され検討されれば、コーチングスキルの発展に寄与できると考えました.

そのため、以下の3点に考慮して研究を進めました.これは、今後指導/研究を進める上でも重要な視点と考えます.

                              

平岡 秀雄

1 ハンドボールコーチング研究に取りかかる前に

1) 監督・コーチ・選手にしか出来ない研究

スポーツ界に携わる指導者(研究者)は、それぞれの競技の発展のため、生理学・心理学・運動学・社会学など、さまざまな研究手法を用いて研究を行っています.ところが、監督やコーチ・選手にしか出来ない研究領域があります.

その研究領域はコーチングに関わる領域です.スポーツに関わる研究の多くが、熟練者と未熟練者の比較や、異なる種目間の比較・勝者と敗者の比較など、横断的に調査し比較した研究報告が殆んどです.

ところが、監督やコーチ・選手は、直面する課題を解決するために、練習内容や技術の発揮方法などを工夫し指導/実践します.

これこそが、他の研究者には真似のできないコーチング研究独自の領域で、一定期間の指導/実践を伴う縦断的な研究です. 

チームの競技力を高める努力が“事例研究となるので、その結果として少なくとも

と、一石三鳥の見返りを期待できます.

分析機器目次 次のページ