3 防御の基礎戦術

防御は攻撃に比較して難しいと言わざるを得ない。攻撃の動きはD・F(ディフェンス)から離れようとする動きであり,積極的に動くことができるのに対して,防御の動きはO・F(オフェンス)についていく動きであり,0・Fの動きに応じて動かざるを得ない。 D・Fの動きは受動的と言われるのはこのためであるが,受動的に動いていれば守れるかというとそうではなく,受動的な動きでは相手から遅れて動き出すことになり,結局は得点を許すという形になる。この遅れをとり戻すのは,相手の動きの予測(読み)と相手より速く動くことである。 

攻撃の自由な動きに対してそれを事前に読み,阻止することは,非常に高度な判断力である。ハンドボールを始めると,積極的かつ自由に動ける攻撃プレーを、まず好きになるのが通例である。これは防御プレーが,相手のプレーを読んで阻止するという段階に至らず,まさに受動的、消極的になってしまいがちになるからであろう。防御が好きになれば一人前と言われるのはそのためである。 

相手の動きを読むことができ,積極的にパスカットやシュート阻止ができ,また相手の動きを防御側で意図的に作り出せるようになると、そのおもしろさは格別のものとなる。その段階においては受動的というより,能動的,積極的防御をなし得ることができる。

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