反射神経をよくするためにはどうすればよいか?

一般的に反射神経がよいというのは、瞬間的に動作をし、しかもその判断が非常によいといったことをいっています。「反射神経がよい」といういい方は、反応時間が短いとか動作時間の短いという方が本来正しいのです。

反射とは意識を介さずにする動作のことで、膝の真下をたたくと無意識に足が上がったり、熱いものに手を触れると思わず手を引っこめるといったようなものです。ところが運動の場面で使われる「反射神経」というのは、何かを見たり聞いたりして動作をすることで、脳で判断しての動作のことをいっています。

これを反応といいますが、運動の場面ではすべて反応動作である上いってもいいでしょう。反応は反射と違って、刺激(光・音)を受けて脳で判断し、筋肉に命令が下がって動作をするわけですから、反射に比べて時間がかかります。

例えば、ピストルの音を聞いて走り出す一〇〇メートルランナーは、音を聞いて走り出すまでに、どんなに早い人でも0.1以上はかかるといわれています。この0.1秒は反射に近い時間で、どんなにトレーニングをしてもこれ以上短縮することはできません。これは音を聞いての反応ですが、球技ではおもに目に入ってくる刺激を受けての反応です。

一〇〇メートルランナーのように音だけを聞いてとび出すような反応を単純反応といっています。それに対して、刺激の数が多くなり、反応の仕方も複雑になってくるものを複雑反応とか選択反応とかいっています。単純反応に比べて複雑反応の方が時間が多くかかります。

ゴールキーパーの反応時間を測定したものがありますので、それを例として述べてみます。

図lのように、キーパーは四つのランプを前にして立ちます。立っている板の裏には、ストレインゲージがはりつけてあり、キーパーが動くことによってできるわずかな板の歪みをとり出せるようになっています。

c-10z1

A、B、C、Dは、各コーナーに設けられたタッチ板です。このタッチ板にもストレインゲージがはりつけてあり、キーパーが手や足を触れた瞬間を記録するようになっています。

キーパーはランプの点燈と同時にコーナーへ動きますが、記録紙にはキーパーが光を見て動き出すまでの時間(反応時間)とランプがついてからタッチ板に触れるまでの時間(動作時間)が記録されるようになっています(図2)。

c-10z2

このようにして測定された結果は次のようになりました。

①単純反応の場合(表1)(点燈するランプが一個)

②刺激二つの選択反応(表2)(二個のランプのうち一個が点燈)

③刺激四つの選択反応(表3)(四個のランプのうち一個が点燈)

c-10z3

以上のように、刺激の数が少なくなるほど反応時間は短くまた動作時間も短くなっています。ここでは、動作を開始するまでの時間を反応時間とし、動作の終了するまでの時間を動作時間といっていますが、一般的には、ここでいぅ動作時間のことを反応時間といっています。

この反応時間を短くするためには、刺激を受け取ってから筋肉に伝達するまでの神経にかかる時間と、筋肉の収縮に要する時間の短縮をはからなければなりません。そのためには、判断を無意識的にできるまで何回も何回も練習を積むことと、筋肉のスピードやパワーをつけてより動作を速くすることにより可能となります。

(大西)

トレーニング目次へ 次ページへ