C-1ハンドボール選手の適性は?

オリンピック競技やその他のトップレベルの試合を見ると、だいたいその競技に適した身体的・体力的適性というものが推察できます。陸上競技のように記録を競う競技では、体力的な適性がその競技の適性と直結しやすいし、柔道やバスケットボールなども一見して、その競技のプレーヤーとわかるくらい適性的な面がはっきりしています。その点ハンドボールは外見上からは、目立った特徴もなく、からだつきは普通の人をガッシリとした感じで目立ったところはあまりありません。裏を返せば、均整が取れているということになります。

ハンドボール競技は、敵・味方が入り乱れて競技する対応動作中心のスポーツであり、走・跳・投の基礎的な運動能力を十分に発揮することが要求され、同時に相手をからだで止めてよいという格技的な要素を持ち合わせているために、全身すべての発達が要求されるからです。

スポーツは、体力があり、形態的にすぐれ、判断力や予測力など知的な能力があるに越したことはありませんが、そのような条件にめぐまれた人はまれです。人はそれぞれ長所を何か持っているもので、それを生かせるポジションやプレーを考えると、その長所は適性となります。選手で活躍している人はそれなりに適性があるといえますが、彼等のタイプを分類すると次の五つのタイプに分類できます。

(1)形態型

形態型というのは、身長、体重、腕の長さ、指の長さなど、形態面に関するものが人並み外れて大きいためにプレーする上で有利な条件をかもし出す人のことです。特に身長が高い人は、動作範囲が大きいために、攻防場面では大変有利です。日本では、一九〇センチメートルに達する選手はほとんどまれであり、それだけでも貴重な存在ですが、オリンピックに出てくるチームでは、一九〇センチメートル台が普通で、二メートル級も出場しています。

(2)体力型—スローイング派

ハンドボールは、最終的にはスローイングの能力で勝負が決定します。スローイング派というのは、スローイングの仕方がハンドボール競技に適しているためにプレーする上で有利な条件を得るタイプのことです。同じ努力でシュートしても、ゴールキーパーにとられやすい人とそうでない人がいます。とられにくい人は、肩に柔軟性があるためにゴールキーパーに方向が読まれにくかったり、ボールを握ることができるために、自由自在にボールを扱うことができる人です。肩に柔軟性がなかったり、手が小さくてボールを握ることのできない人は、そのことだけでスローイングに関しては損をしていることになります。

(3)体力型-スピード.パワー型

スピードパワー型というのは、形態面やスローイングにおける弱点を人並みはずれたスピードやパワーで補い、それを生かしてプレー上の利点を出しているプレーヤーのことです。背は小さくても、抜群の走力を持っているために、速攻要員としてなくてはならない存在だったり、人並みはずれたジャンプカを持っているために、形態的・スローイング的ハンディを克服している例も多いのです。

(4)知能型

知能型というのは、判断力や予想力が適確で、戦略的な能力にたけているために、敵の裏をかくなどおもに頭とセンスで、プレー上の利点を得ている人のことをいっています。からだは小さいし、投力も体力もさしてないのに活躍する選手が、このタイプに属するプレーヤーです。

(5)総合型

総合型というのは、今まであげたタイプを総合した人のことで、理想的なプレーヤーのことをいっています。初めから総合型のタイプの人はいないのです。(1)~(4)にあげたどれかの適性をもとに努力し、最後に得られるものが最高
の適性といえましょう。

(大西)

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