実戦ハンドボールQ&A
チームとして最も攻撃しやすいディフェンスの状態というのは、ディフェンスの間が広がっていてカットインする間合いもあるし、ディフェンスのコンビが組みにくい状態の時です。ディフェンスを常に広げて攻めている状態は理想的ですが、ともすれば、攻めやすい中央へとサイドプレーヤーがまわり込み、サイド地域へのフォローがないために攻撃が中央へとかたまりがちになります。
たとえば、図1のようにAがBに合わせ、AがDに合わせて切り込みそれに合わせてEがまわり込んできたとすれば、図2の斜線の部分に十二人のプレーヤーが入りまじることになりノーマークをつくったり、またそれを見つけることはむずかしくなります。
瞬間的にこういう場面がよくできますが、このように中央にかたまったバランスの悪い状態を抜けだすためには、サイドに走り込むプレーヤーとパスが必要です。
その結果チャンスが生まれ、コートバランスがとれるのです。いかにしてコートバランスよく攻め込むかが、チームの戦術の重要な部分であり、その方法は千差万別です。
写真Ⅰのようにコートを区分けしてみますと、バランスよく攻めるということは、それぞれの区域に常に、そこを攻め込むことのできるプレーヤーがいるということです。仮にサイドポスト、中央とそれぞれの地域に名前をつけてみると、プレーヤーやパスがどう動こうとも、それぞれの地域で常に攻撃体勢ができているということです。
次に例をあげて、コートバランスのとり方を説明します。
これはA、B、Cのプレーヤーによってサイドポストを攻撃し、中央は、D、E、Fによって攻撃する場合です。Aが中央に合わせて切り込めば、Bがあいたサイドにフォローして、全体のバランスをとるといった具合です。
サイドポスト付近は、A、B、C、Dによって攻撃され、中央はE、Fによって攻撃される方法で、ダブルポスト攻撃といわれているものです。
誰れがどこを攻めるということなく、一人一人がオールラウンドプレーヤーとして動き、一人のプレーヤーが、その場その場の動きに従ってすべてのポジションをこなす方法です。
以上は日本で行われている基本的なコートバランスのとり方ですが、各チームによって、独自なものを作ることができます。
以上の三つのコートバランスのとり方は基本的なもので、その瞬間瞬間においては、すべてのプレーヤーが主として攻めるゾーン以外の地域でもフォローとして入り、攻めることができなくてはなりません。
間違ってはならないことは、コートバランスをとるために攻めるのではなく、攻めた結果としてコートバランスがとれていなくてはならないのです。よく見かける例ですが、ダブルポストの攻撃をしていて、全然そのポジションから動かないし、またディフェンスに対しても「こわい」攻撃をしていない例を見かけますが、これでは配置のバランスはとれていても、攻めていることになっていないことになります。
(大西)