シュートコースにヤマをはっていてはよいゴールキーパーになれないでしょうか?

実際のことをいってヤマをはらずにシュートを取れるはずはないのです。シュートのコースをよく見て取れといわれても、よく見て取っていたのでは、ボールがゴールに入ってから跳びつくことになりかねません。ヤマをはるということを悪い場合にとるのは、自分勝手な判断をして動いたり、動くのが早すぎるためにシューターにはずされてしまうことをいっています。

うまいゴールキーパーはヤマをはっていてもシューターにはわからないのです。手からボールが離れてからでは遅すぎるのですから、すべてのゴールキーパーがヤマをかけてシューターに対しているのです。

よくうまいシューターに打たれて全然動けないゴールキーパーを見ることがありますが、これはゴールキーパーがシューターの動作をみてここしか打てないはずだというヤマがかけられないからです。下手なシューターほど、打ってくるだろうというコースを予想できるものです。その予想することがヤマであって自分勝手な無茶苦茶な予想はヤマではありません。

だんだんうまいシューターになってくるほど、打ってくるだろうというコースの数が多くなりヤマをはることがむずかしくなってくるものです。それでもなおかつヤマをはらなければならないのは、待っていて入れられるよりヤマをはってでも取った方がよいからです。うまいゴールキーパーでも時々は逆をつかれて入れられているのはその例です。

ヤマをはることができるのは、長い経験の積み重ねによってシュート方向にボールが飛ぶ前からそのコースを予想できることであって、うまいゴールキーパーは、そのほとんどが当たるといっています。走ってくるコース、バックスイング、顔や目の方向、キーパー自身の構えなどからヤマをはることができるのです。そのようなきめ細い注意にょってヤマをはるコツがわかってくるのですが、初心者段階では何の裏づけもなく、なんとなくヤマをかけて跳んでしまうといった例が多くあります。

そのようなゴールキーパーを悪い意味での「ヤマカンG・K」といっていますが、ヤマカンで動いて入れられるよりは、よく相手のプレーを観察して入れられた方が将来のためにはよいことはいうまでもないでしょう。「ヤマをはってはよいゴールキーパーになれないでしょうか」というよりは、「ヤマをはれなければよいゴールキーパーになれない」ということです。ヤマをはりそれがことごとく当たるようになるまでには、相当の訓練が必要かと思います。

(大西)

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