上のコーナに来るシュートがなかなか取れない。どうしたらよいか?

上のコーナーに来るボールを取れないゴールキーパーの原因を、方向やタイミングの判断以外に求めるならば次のようなものになります。

以上の原因が考、えられますが、ここでは②、③、④の点について述べます。

(1)動作が遅い場合

動作が遅いゴールキーパーの例として最もよく現われるのは、シューターのジャンプに合わせて腰の浮いてしまう場合です。シュートに対してジャンプするためには、浮いた腰をもう一度落としてジャンプし直さなければならないので遅れてしまうのです。また、背の小さいゴールキーパーで腕を上に上げて構えている場合も、腕を下ろしてからジャンプするので動作は遅れぎみです。

(2)ジャンプする方向が悪い場合

シュートに対してジャンプする場合、応々にしてゴールラインと平行の方向にジャンプするゴールキーパーをよく見かけます。写真Ⅰで示すように、ゴールに平行にジャンプすると守る範囲が大変広くなり、コーナーを打たれるととどかなくなります。そこで写真Ⅰの矢印○で示すように、ボールが離れる点とコーナーを結ぶ線に対して最短距離を跳ぶようにします。心理的には、ボールに向かって跳ぶようにするのがよいでしょう。

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(3)立つ位置が悪い場合

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立つ位置は、シューターやディフェンス、あるいはさそって打たせるか否かということもあり一概にはいえませんが、シュートを打たれてとどかない位置であってはなりません。写真Ⅱで示すように立つ位置によって防御範囲は大きく変わってくるので、シュートに対して一、二歩ステップを踏みながら立つ位置を決めます。また前後の動きだけでなく、シューターとゴールの中心を結ぶ線に対してどのような位置をとるかも、ディフェンスの立つ位置などから決定します(写真Ⅲ)。

(4)ステップの踏み方が悪い場合

普通ゴールキーパーは、その場でじっと構えたままシュートボールに対して動作をすることはありません。たいてい一〜三歩つめながら構えて動作をします。最終的に跳び出しミートする動作を「跳び出しの動作」といい、それまでの動作を「準備動作」といっていますが、準備動作と跳び出しの動作ははっきりと区切ることができるものではなく、ある者は前につめながら跳び出していきますし、また、一、二歩つめて静止した構えをつくってから跳び出す者もいます。

次の写真は上のコーナーに来るシュートではありませんが、前に述べた準備動作としてのステップの踏み方の基本形二通りを示したものです。

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写真Ⅳは、つめながら(①〜④)そのまま跳び出した(⑤)もので、準備動作と跳び出しの動作が一体となっています。


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写真Ⅴは、つめて(①〜③)構えて(④~⑤)跳び出した(⑥~⑦)もので、準備動作と跳び出しの動作が、静止した構えをはさんで分かれています。

跳び出し動作のステップの踏み方は、その場から一拍子で跳び出すものと、一歩サイドステップを踏んでから跳び出す二拍子のものとがあります。一拍子では、動作にかかる時間は短いのですが動作範囲は二拍子に比べて小さくなります。二拍子のものはその反対となりますが、立つ位置や相手のシュートのタイミングによって使いこなすことが必要です。


(大西)

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