浮いているディフェンスは抜けても、エリアラインに下がっているディフェンスが抜けないのは?

3-10p1

浮いているディフェンスはドリブルをして走り込む余裕があるので抜きやすく、下がっているディフェンスは走り込みながらドリブルする余裕がないということで難しくなります。しかし、実際には下がっているディフェンスほど攻めやすいのです。下がっているディフェンスの弱みは、ディフェンスの前から自由にシュートすることができ、またドリブルで抜かなくても一歩はずせばノーマークに近い
状態でシュートできるということです。

よくゴールエリアラインにべったりと並ばれたディフェンスに対して、前をぐるぐるとからまわりしてシュートできない攻撃側チームを見受けますが、こんな時は抜こうと思わずにミドルやロングシュートを打てばよいのです(写真Ⅰ)。打つことによってディフェンスは前に出てくるし、ポストもあき、走り込むことができるようになるのです。

質問の場合も同様で、下がっているディフェンスに対してはまずシュートを狙えばいいのです。走り込んでディフェンスの前からシュートしたり、シュートを打つ瞬間にドリプルなしの方向変換をすることによって抜けないまでも相手をはずしてシュートすることができます。ディフェンスで最も悪いのは、シューターに対してつめずにシュートさせてしまうということで、下がっているディフェンスほどゴールキーパーにとっていやなものはないのです。

攻撃の技術は、最終的にはすべてシュートを打つための技術です。抜かなくてもシュートを打てるディフェンスに対しては抜かなくてもよいわけです。ところがうまいディフェンスにあうとエリアラインに下がっていて、相手がシュートとみれば前にうまくつめてシュートを封じる場合があります。そういう場合にはシュートモーションをかけ前に出てくる動きを利用して抜くようにすればよいのです。

写真Ⅱのようにシュートとみせかけてディフェンスの前におびきよせ、前に出た瞬間をとらえて方向変換して抜いていけば、ディフェンスは容易についていくことができません。これがシュートモーションからのフェイントです。このプレーができるというのも、シュート力がなければディフェンスはエリアラインに下がって守っていた方がそれほど動かなくてよいし、ディフェンスのバランスもくずれないのです。ディフェンスを引きつけるシュート力を持って初めて他の技術が生きてくるわけです。

サイドシュートについては中央と違いミドルやロングシュートはかえって打たせた方がよいので、ディフェンスは不用意に前につめてきたりしません。サイドの攻撃については抜かなければ容易にシュートを打つことができないからです。

サイドでサイドディフェンスをはずしてシュートする技術については、四〇頁を参照して下さい。

大西

オフェンス技術目次へ 次ページへ