大西武三
毎日行う練習の項目は大きく分けると次の様になります。しかしその中で行うドリルの方法は、技術の発育段階によってまたシーズンによって異なってきます。
上記に従って日々の具体的な練習計画を表1に表してみました。初歩的なチームから進んだチームでもどんなチームでもやるであろうと言う内容を書いてみた。練習時間は2時間を目安としてA案、B案としてみた。
その日その日で課題となる内容を決めそれに時間を重点的に配分することが望ましい。この表にはハンドボールに必要な練習内容が網羅されているわけではありません。機会を見て全般に渡る練習計画を示していきたく思います。
また練習内容に対して各種の練習手段が考えられるが今回はオーソドックスなものを挙げた。おいおい年齢層、上達段階、心理面に応じた練習法を紹介していきたい。
ウォーミングアップの方法には各種のものがあるが、今回説明するものは最も一般的なものである。
ランニングなどの軽い運動で体を徐々に温め、次第に運動の強度を上げて、全力的な運動が出来るようにする。体と精神的な準備である。体が十分に暖まったところでストレッチを行う。最初にストレッチをしたり準備体操するチームがあるが、体を暖めてから行った方が効果的である。
体が十分に暖まったとこれで、ストレッチを行う。二人組で行うなどして、身体の各部を十分にのばす。指導法教本参照
パス動作と投力の養成。二人組になって約3メートルの距離から徐々に距離をのばし最後は最大努力で遠投する。女子なら30メートル、男子は40メートルを一つの基準にする。
短い距離のパスではではボクサーステップ(足首の動き)を使って、オーバースロー、ラテラルスロー、プッシュスローなどを素早い動作で行う。距離が長くなるにつれてクロスステップを踏み全身を使って投げる。各種の投げに対して30秒とか30回とか目安を決めて行いだらだらとならないように気をつける。
図のような隊形から各種のパスや動作、フットワークなどを練習する。指導者は動作が正確に出来るかよく気をつけてみる。左右の足でジャンプして投げられるようにしてほしい。
○パス;ランニングパス、ジャンプパス、プッシュパス、ノーステップパス、アンダーハンドパス、空中パスキャッチ、ゴロキャッチ、ジャンプシュート動作
○右足ジャンプ、左足ジャンプ
ハンドボールの技術の基礎の練習である。全ての技術はフットワークのなしには成り立たない。フットワークといわれる足裁きの切れ味が、そのまま技術の切れ味につながるものである。質の良い練習をしてほしい。
今回は3人一組で次のステップを練習する。
約3から4メートル離れて二人がたち中央の者が各種ステップを出来るだけ速く行って両脇に立っている者にタッチする。これは技術の練習とともに脚パワーのアップトレーニングでもある。
ボールピックアップは両脇の者が中の者に対し,ボールをダッシュでとれるか取れないところに投げてやる。そのボールをノーバンでキャッチし返す。それを一人に2回行って次の者にボールを投げ、それを繰り返す。
今回は3人組でジャンプストップによるフェイントを練習する。右、左でドリブルすることを学習する。右に抜く場合は右で、左に抜く場合は左で抜く。腕を回して抜くフェイントでなく、抜く方向の逆肩をデフェンスに向けて抜くフェイントを学習する。
ジャンプストップからの方向変換;方向変換はジャンプストップ系とストライドストップ系がある。
今回はジャンプストップ系を行う。フェイク動作;ストップと同時に抜く方向と逆の方向への身体、ボール、視線を振りフェイクを行う。
シュート練習に先立ってゴールキーパーの各種動作の準備を行う。シュート側はボールを各自が持ってゴール前一列に並び次々とボールを投げる。
小学生のシューターに力がない場合は指導者が連続的にボールを投げて代わりをしてやる。
シュート練習では、アシストパス、走りのコース、走りのスピードの気をつける。
◆各ポジションからのシュート練習を行う。全てのプレイヤーがオールラウンドにシュートが出来るようにする。
試合で使われるコンビを使ってシュート練習するパラレルやクロスなど動きの形を覚える。はじめはディフェンスを立てて行い、慣れてきたら、デフェンスに少し動いてもらう。
コート全面使用して速攻の基本練習を行う。
1 ドリブル速攻;転がされたボールを拾ってドリブルし速攻する。左右の手を使用してドリブルをする。
2 ワンパス速攻;ゴールキーパーからワンパスをだす。CPは全力でスタートを切り、振り返ってパスをもらってシュート。
3 2;1 デフェンスを一人入れ、パラレルで或いはクロスで速攻する。スピードを落とさないように走る。
ハンドボールの最も基本的的な攻防練習である。
「ハンドボールは1対1に始まって1対1に終わると言われるくらい大切な練習である。オフェンスはオーバーステップしないようにデフェンスは相手を押したり掴んだりしないように足と胴体を使って守る。
1対1の基礎動作を実際の攻防に当てはめる。シュートを打つかフェイトすべきかなど戦術的な能力が要求される。この攻防が上手になればハンドボールの基本は身に付いたと言える。
○デフェンス側の動作は
1対1やシュートコンビの動きを3対3の中で使って攻防する。チームプレイとしては最も基本的な人数の攻防練習である。
この中では 攻撃側は次のような原則を守らなければならない
また防御側は
最後の仕上げとしてゲームを行う。今まで練習はゲームのためにしているのであるから、時間は短くても良い。楽しんでしかも真剣にゲームをしてほしい。
正式のゲームは7対7ですが、人数や方法、コートの大きさなど状況に合わせて変える。ゲームは競争であり、速攻セットなどいろんな局面が連続的に動的に流れるものである。これはゲームでしか学べないものである。
パワーアップや持久力のトレーニングは技術や戦術のトレーニングと平行して養成して行くことが必要であるが、かなり練習を積んだ選手ではそれに加えて専門的なトレーニングが必要となる。初歩的レベルでは、出来るだけ技術と関連づけて行うのがよい。
技術と関連づけるとは,技術は走・跳・投で構成されているので,全力でそれを行ってパワーアップはかったり,技術練習を少人数で連続して行い持久力をつけたりする事である。
体力トレーニングとしては各種のものがあるが、今回は基本的な体幹を中心としたを筋力パワーアップをはかる。
クーリングダウンは練習が終わった安堵感か、ともすればなおざりにされていることが多い。体を十分にいたわってほしい。
ゆっくりと走りながら体内の疲労物質を循環させて体を整え、精神的にゆったりとした気分をつくりながら今日の反省と明日への体及び心作りをしてもらいたい。