212頁

1ルールの精神・構造・特質・内容

1 ルールの精神

 ルールブックの最初にある「ハンドボールの概念」では,次のように述べている。

 「ゲームの目的が相手より多くの得点を上げることなので,ハンドボールは攻撃を主としたゲームであり,観衆も多くの得点が入ることを望んでいる。このことから,防御のためだけにボールを回すことは,全く価値がない。もちろん,堅い防御は,ゲームの上で大切であるが,それは,力強く素早い攻撃の基盤でしかない。世界中に知られているスポーツの中で,ハンドボールほど『攻撃は最大の防御』という言葉が当てはまるスポーツもない。

 ハンドボールのルールの精神は,相手の身体を傷つけることなく,チームが本来のプレーを行う正当なチャンスを与えることである。この前提があって初めて,アドバンテージ・ルールがゲームにおいて十分に機能する。(OR:チームが本来のプレーを続ける正当なチャンスを与えることである。従って,プレーの継続を重視 る意味において,アドバンテージ・ルールは 必要不可欠である。)また一方で,レフェリーは,この競技が本当に激しいスポーツであることを十分に理解していなければならない。ブロックプレーなどの身体のぶつかり合いが,スピーディーなゲーム展開の中で起こるので,レフェリーの任務は非常に大変である。さらに,コーチやリーダーはもとよりプレイヤーも,スポーツ理論一般そして特にゲームにおけるマナーを理解していなければならない。特に,ルールの文字通りの意味だけでなく,スポーツマンシップに忠実でなければならないことを理解していなければならない。

 ハンドボールでは第1に,意図的に相手を傷つけるような行為をすることが絶対にあってはならない。したがって,相手に危険を及ぼしたり,ルールを無視するような行為に対しては,罰則が適用されなければならない。

 また,ゲームの目的でもある得点を上げさせる

次頁へ

ルールと審判法目次へ

指導法教本目次へ