Ⅱ 練習の進め方

1)ウォーミングアップからクーリングダウンまで

1.ウオーミングアップのとらえ方

 ウォーミングアップには次のような働きがあ る。
① 柔軟性を増す。
② 血液の循環をよくして機能を高める。
③ 神経,呼吸器系の働きをよくする。
④ けがの予防と安全維持に効果がある。
 このように神経や内臓に対し好ましい刺激を与 え,次に行う激しい運動や技術練習に対応できる 心身の状態を作り出しておくことが役目となる。 練習内容については検討される機会が多いが,ウ ォーミングアップやクーリングダウンについては 軽視されがちである。それぞれの現場で工夫し, 実施していくことが必要であろう。
 ウォーミングアップの内容や強度については, それを実施する対象(学生,社会人,あるいは初心者,経験者など),その状況(ふだんの練習か試 合前か,気温が高い,低いなど)によって,いくつかのバリエーションが考えられるが,いずれに しても単純な体操のみで終わることは避けたい。 かといって,アップに重点をおきすぎ,あとの主 運動に疲労を残してしまうのも問題である。ここではごく一般的にどこでも使えるように,ストレッチの例をあげておく。ハンドボールでは特にそ の動きの特微から,手首,肘,肩関節,膝関節, 腰の炎症がみられるので,これらの部分は他の部 分以上に十分にほぐす必要がある。
 〈例〉
ⓐ ランニング:500〜1000m
ⓑ 体操:徒手体操十軽いフットワーク
○ ストレッチ:22種(図参照)
 基本的にはランニングで全身を温め,そのあと 徒手体操的なものから柔軟運動をくわえ,各関節 の可動性筋の仲展性を向上させていく流れがよい と思われる。このほか,内容に変化や強度を加えて,自チームの状態に一番あったものを作り出していくことがベストであろう。

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